秋田・男鹿市を本拠地とする「男鹿市民吹奏楽団」。団員はわずか8人だが、12月に開催する定期演奏会には地元の中学生なども出演予定で、地域が一体となって音楽を奏でる。初対面の人が多い中での演奏会に向けた練習は、中学生にとって充実した時間となったようだ。
部活動の地域移行を試験導入
人気のポップスから、映画の名シーンを思い出させるしっとりとしたメロディを演奏しているのは「男鹿市民吹奏楽団」。
11月16日、男鹿市の船越コミュニティセンターで12月8日に控える定期演奏会に向けた最後の合同練習が行われた。
集まったのは約50人で、このうち吹奏楽団として活動している団員は8人ほどしかいない。
男鹿市民吹奏楽団の西村侯一郎団長は「(2023年の定期演奏会に比べ)賛助の方が40人ほど増えたので、なかなか見応えのあるステージになるのではないかと思っている」と期待を込めた。
新型コロナウイルスの影響が落ち着くと賛助での出演が一気に増え、定期演奏会では総勢89人がステージに上がる予定だ。
大人に混じって演奏するのは、男鹿東中学校と男鹿南中学校の吹奏楽部の生徒たち。部活動の一環で演奏会に出演する。
この日の練習には18人が参加していたが、顧問の先生の姿は見当たらない。
実は、一連の活動は、男鹿市が10月から進める「休日の部活動の地域移行」に向けた試験的な取り組みも兼ねている。これから先も子どもたちが文化芸術活動に親しめる機会をどう確保していくか、官民一体での検討が始まっている。
休憩時間になると、生徒たちが初対面の大人から指導を受ける姿があちらこちらで見られた。
参加した生徒たちは「先生だと全部の楽器を知っているわけじゃないから、その楽器をやっていた人に聞けたから詳しく知れた」「ビブラートの正しいかけ方を教えてもらい、細かく刻んでできるようになるまで教えてくれた。得した気分になる」と話した。
また、「たくさん人がいて楽しいけれど、やっぱりなんだか緊張してしまう。やっぱり人数多い方がまとまっている感じがあり、楽しい」「いつも先生がいて、その中で指示をもらって動いたりしているから、自分たちで回さなければいけないという不安な部分もあるけれど、自分たちが成長できる部分もあると思う」と不安を口にしながらも、生徒たちは前向きに捉えているようだ。
地域一体で音楽の楽しさを次世代へ
1982年に楽団を立ち上げた音楽監督の仙北屋昭弘さんは、地域の音楽活動を取り巻く状況に危機感を抱いている。
男鹿市民吹奏楽団音楽監督・仙北屋昭弘さん:
今、人数が少なくなってきていて、単独の学校でコンクールに出るのも難しい状態になってきている。どうやって練習していいかわからない状態が続いているのではないかと思う。
部活動の地域移行を通じて、良い効果をもたらしたいと考えている仙北屋さんは「こうして一緒にやることで、生徒たちが吹奏楽の楽しみを感じることができるのではないかと思う。今回は合奏からスタートしたが、最初の基本的な音の出し方などからじっくりと関わり合えたらいいなと思っている」と話す。
男鹿市民吹奏楽団の定期演奏会は、12月8日午後2時から男鹿市民文化会館で開かれる。西村侯一郎団長は「音楽は楽しくやるものだと思うので、みんなで楽しい演奏会をつくっていきたい」と意気込む。
地域の演奏者たちが一体となって音楽の楽しさを次の世代へ伝えていく。
(秋田テレビ)
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