外為法違反罪での起訴が取り消された「大川原化工機」で顧問を務め、勾留中に胃がんが判明し死亡した相嶋静夫さん(当時72)の遺族が、拘置所で適切な医療が受けられなかったなどとして国に損害賠償を求めた訴訟で、遺族は20日、上告を断念したと明らかにした。一、二審で敗訴していた。
東京高裁は6日の判決で、請求を退けた一審東京地裁判決を支持し、遺族の控訴を棄却。拘置所側の対応は医学的に合理性があったと判断した。
相嶋さんの長男(51)は「一審、二審判決とも拘置所の脆弱な医療を追認し、がん判明後も保釈請求を却下し続けた裁判官の判断に言及がなかったことは誠に遺憾だ」とのコメントを発表。「違法捜査で不当に勾留し、病に苦しむ父の最期の時間を奪った警察、検察、裁判所を断じて許すことはできない」と非難した。
相嶋さんは、生物兵器製造に転用可能な装置を不正輸出したとして2020年3〜6月、大川原正明社長(75)らと共に逮捕、起訴された。同10月にがんが判明し、勾留停止を経て、翌月に入院。21年2月に亡くなった。東京地検は初公判直前の同7月、犯罪に当たるかどうか疑義が生じたとして、同社や大川原さんらの起訴を取り消した。〔共同〕
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