大阪府は年明け、ある条例案を府議会に提出する。特殊詐欺被害を防ぐため、ATMを利用しようとする65歳以上の携帯電話での通話を禁止する内容だ。対象は金融機関に限らず、コンビニも想定される。人手不足が深刻な店では、普段から客対応が悩みの種だが、従業員の負担増につながらないか。そもそも、安易に利用者の私権を制限していいのか。(西田直晃)

◆「おじいちゃん、おばあちゃんを守っていく」

 「府内の特殊詐欺の被害額は過去最悪のペースで増えている。おじいちゃん、おばあちゃんを守っていかなくては」。府治安対策課の担当者は「こちら特報部」の取材にそう述べた。

吉村洋文大阪府知事(資料写真)

 踏み込んだ対策を求める吉村洋文知事の意向を受けて今月5日、府の審議会が「通話中の高齢者のATM操作禁止」「設置場所の従業員に対し、不審な入出金の通報義務」などを柱とする答申案をまとめた。対象とされたのが府内全域。先の担当者は「罰則はないが、当事者、従業員それぞれが法的義務を負う」と説明。この答申案をもとに、来年2月の府議会に提出する条例案を作成中で、成立すれば全国初となる。

◆大阪の特殊詐欺被害、7割は65歳以上

 府警によると、今年の特殊詐欺の被害額は9月末時点で約43億4000万円。昨年1年間の被害額を既に上回っており、被害者の7割強を65歳以上が占める。現金の入出金は主に金融機関やコンビニのATMが使われるため、従業員の協力が不可欠という。  ATMの管理主体の金融機関はともかく、コンビニ関係者はどう受け止めるのだろうか。  府外ながら同じ立場の人々に思いをはせるのが、コンビニのオーナーが所属する「コンビニ加盟店ユニオン」(岡山市)の佐藤桂次執行委員長。「店内のATMは銀行業務なので、基本的にはコンビニ従業員は掃除を担う程度。仕事が増えてしまう」と話す。

◆「防げなかったら、世間から責められそう」


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