◆敗れた稲村和美氏のぼやき
「街頭で政策と取り組みを訴えた。若い世代の政策への期待は大きく、評価と信託を頂いた」。19日の就任会見で、そう強調した斎藤氏。SNSでの発信が支持拡大につながったと報じられた。一方で、過熱する選挙戦では各候補への誹謗(ひぼう)中傷や根拠のない情報が問題化。次点で敗れた元尼崎市長、稲村和美氏は敗戦の弁で「斎藤候補と争ったというより、何と向かい合ってるのかなという違和感があった」と漏らした。兵庫県知事選のポスター掲示場=JR三ノ宮駅前で
3月、元県西播磨県民局長の男性が斎藤氏のパワハラなどを訴えた内部告発が発端となった選挙。斎藤氏は告発者の特定を指示し、会見では「うそ八百」と断じた。男性側は県の公益通報窓口にも通報した。県は公益通報者保護法の対象外と判断し、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。その後、県議会が調査特別委員会(百条委員会)を設置したが、証人として出席予定だった男性は7月に死亡。県議会は9月に斎藤氏の不信任決議を全会一致で可決し、斎藤氏は出直し選挙の道を選んだ。◆斎藤元彦氏への同情とメディア・公務員不信が一体に
当初は「孤立無援」で挑んだように見えた選挙戦。取材してきたノンフィクションライター松本創氏によると、失職直後の駅立ちでは聴衆がまばらだったが、10月末の告示日の第一声には約300人が集まり、歓声に包まれた。X(旧ツイッター)では「#斎藤知事がんばれ」とのハッシュタグ(検索目印)が一時トレンド入りした。 そして当初の予想を覆して当選。なぜうねりを巻き起こせたのか。 松本氏は「3月の告発以降、メディアは批判一色で異様なほど報道が過熱した。県民はうんざりし、メディアへの違和感が既にあった」と指摘する。さらに1人で駅立ちする様子などがSNSで拡散されることで「斎藤氏への同情や共感と、従前からのメディアや公務員、地方議員への不信と反感が表裏一体になった」とし、「既得権益に立ち向かう斎藤氏」とのストーリーが広がったとみる。◆立花孝志氏の奇策は「実際に効果を発揮した」
その勢いを後押ししたのが、同知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首だ。自らの当選ではなく斎藤氏の支援を呼びかけ、連日、斎藤氏の横で演説。60万人余りの登録者がいるユーチューブなどで、「ネットVSオールドメディア」と題した動画などを投稿し報道批判をあおったほか、死去した元局長を攻撃するような内容の発信も繰り広げた。立花孝志氏の選挙カーの前に集まる多くの人たち=15日、JR姫路駅前で
選挙戦最終盤に斎藤氏の演説会場を訪れた「こちら特報部」の取材には「既存メディアは本当のことを伝えない」「百条委はいじめ」と話す有権者も。同じ会場で演説を終えた立花氏に、握手や撮影を求める人たちが長蛇の列をなした。 松本氏は「斎藤氏自身は演説で誰かを攻撃することはほぼなかったが、そこを発信力のある立花氏が『斎藤氏は無実で告発事実はうそ』との印象を与える過激な言説を振りまき、実際に効果を発揮した」と話す。◆急激に増えた斎藤元彦氏のフォロワー数
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