旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして国を訴えている各地の原告や弁護団はことし9月、国が慰謝料を支払うことなどで和解するとした合意書に調印しました。

愛知県ではいずれも聴覚に障害のある、名古屋市の尾上敬子さん(74)と尾上一孝さん(77)の夫婦が国に賠償を求めていて、15日名古屋高等裁判所で和解の協議が行われました。

協議は原告側の要望で公開の法廷で行われ、国が長年にわたり多大な苦痛と苦難を与えてきたことを真摯(しんし)に反省し、心より深く謝罪すること、そして2人に慰謝料1500万円などを支払うことが盛り込まれた和解条項が読み上げられて双方が合意し、和解が成立しました。

会見で妻の敬子さんは「これまで傷つけられてきましたが、謝ってもらえて本当にうれしかったです。ずっと母親が悪いのだと思ってきましたが、そうではなくて、国が悪いのだということを皆さんに知ってほしいです」と話していました。

こども家庭庁によりますと、ことし7月に最高裁判所が国に賠償を命じた判決のあと、15日の和解によって全国の4つの高裁と7つの地裁で22人の和解が成立し、各地で起こされた一連の裁判はすべて終結しました。

和解の成立後、尾上敬子さんと夫の一孝さんは裁判所の前で「障害者差別のない社会へ」「すべての被害者に補償を」などと書かれた紙を掲げました。

そして、抱き合って肩を組んだり、ガッツポーズをしたりして喜びをあらわすと、集まった支援者から拍手が送られていました。

三原こども相 旧優生保護法の補償 “支給着実に行うよう準備”

三原こども政策担当大臣は閣議のあとの記者会見で「先に成立した法律に基づく補償金などの支給に向けて都道府県に相談窓口の設置のための協力依頼などを通知するとともに、原告団などの意見も踏まえつつ具体的な周知方法のあり方などを検討していく。補償金などの支給が着実に行われるよう自治体とも協力しながらしっかりと準備を進めていきたい」と述べました。

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