勝海舟の先祖にまつわる新資料を紹介する企画展会場

 江戸時代末期の幕臣・勝海舟(1823〜99年)の先祖にまつわる江戸中期から後期の新資料約10点が、東京都大田区立勝海舟記念館で見つかった。古代の豪族を祖と記す勝家の系図や、勝家が徳川家に仕えることになった経緯を示す文書など、これまで光が当たらなかった海舟のルーツに迫る資料で、15日に同館で始まる企画展で初公開される。

◆「すべてを史実とは言えない」けれど

 同館によると、新資料は海舟の祖父甚三郎が勝家の歴史を記した文書や日記など。江戸中期以降に記されたとみられる勝家の系図もあった。海舟生誕200年の昨年、収蔵資料を再整理したところ、未確認の文書が見つかったという。  系図には、蘇我氏との政争で知られる古墳時代の物部尾輿(おこし)の名前もあり、勝家が古代の豪族を先祖と見なしていたことがうかがえる。詳しい年代は不明だが、近江国(滋賀県)の坂田郡勝村に土着した「物部太郎季時(すえとき)」という人物が、初めて「勝」という姓を名乗ったという記述もある。

江戸時代中期に記されたとされる勝家の系図。初めて「勝」を名乗ったとされる季時の名前もある

 甚三郎が幕府に提出した「系譜」には、勝家が天正3(1575)年に徳川家康に仕え、幕府の旗本となった経緯が記されている。その後も勝家は海舟の時代まで幕府に奉仕。江戸城の無血開城に尽力した。  学芸員の星川礼応さん(39)は系図について「創作を含んでいる可能性があり、すべてを史実とは言えないが、家の歴史を重んじていたことは間違いない」と説明。「勝家が代々幕府に忠実に仕えてきた歴史が、幕末の海舟の活躍につながっているのではないか」と話す。  新資料を公開する企画展「勝家昔日譚(せきじつたん)」は来年3月9日まで。開館は午前10時〜午後6時で月曜など休館。(佐藤航、写真も)

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