自民党の衆院選敗北は、国民が石破内閣を信任しなかったことを意味する。派閥裏金事件が招いた「政治とカネ」問題への不信であることは言うまでもない。長期政権のおごりに対する有権者の怒りの審判でもある。 裏金事件で支持を失った自民党は、岸田内閣が退陣。後を継いだ石破茂首相は、内閣発足から8日後という戦後最短の衆院解散に踏み切った。選挙の判断材料となる国会審議に十分に応じなくても、「ご祝儀相場」が残るうちに総選挙に臨めば勝ち抜けるという民意を軽んじた判断だった。
選挙戦終盤には、非公認候補が代表を務める政党支部に2000万円もの活動費を支給していたことが判明した。国民が納めた税金による政党交付金が原資。首相は「政党支部に出している。選挙に使う意図は全くない」と反論したが、非公認候補が代表を務める党支部にカネが公示後に送付されたのは事実。カネに色がついていない以上、有権者が納得しないのは当然だ。 裏金事件は、物価高で生活に苦しみながらも納税の義務を果たす国民をよそに、自分たちの懐は潤そうとする自民党議員らの体質をあらわにした。長く続いた「1強体制」は自民党から緊張感と責任感を失わせたのではないか。これ以上、抜本的な政治改革に背を向け、国民を軽んじた政治を続けてはならない。(政治部長・関口克己)
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