3

 豪雨被害の深刻な爪痕が明らかになるなか、番組は25日、一時孤立した石川県珠洲市の牧場を取材しました。一部の牛舎はいまだに孤立していて、牛たちを守るために懸命な活動が続けられていました。

■水たまりぐらいが…「カーブしたら急に流れが強くなった」

 車が茶色く濁った水の中を走っていますが、本来、この道路は田んぼに囲まれている小道です。 運転手
「最初はそこまで深くなかったんで、水たまりぐらいで。途中、右にカーブしたぐらいから急に流れが強くなっているのが見えて。あそこで止まってUターンとかバックっていうのは、もっと危険なことが起きるかもしれないと思って。判断ミスだったと思うんですけど、そのまま進んでしまいました」
「本当に初めてあふれましたね、何十年も通っていますけど。路面が見えてない道行って、穴とか開いていたり丸太とか流れてきていたら、本当に危なかったんじゃないかなと」

次のページは

■豪雨被害を受けた牧場 またもライフライン絶たれる

■豪雨被害を受けた牧場 またもライフライン絶たれる

 豪雨で大きな被害を受けた、石川県珠洲市。番組は25日、土砂崩れで一時孤立状態になった珠洲市唐笠町にある松田牧場へ向かいました。

 牧場の手前の道路は落ち、電信柱が横になってしまっています。そして奥は土砂崩れを起こしています。

松田牧場 松田徹郎さん(35)
「断水は地震の後からずっと続いていまして、今も断水中です」
「(Q.地震の後からずっと?)最近、断水が解消したのですが、仮設(水道管)で水を通してもらっていたところが土砂崩れで流されて地震の直後に戻った。振り出しに戻ったという状況です」  元日の地震の被害からようやく復旧した矢先、またもライフラインが絶たれてしまいました。当初、松田さんはこれほどの被害になるとは想像もしていなかったといいます。 松田さん
「雨降っているなーって感じで完全に楽観していた。まさかここまでの事態になるとは思っていなかった」  松田牧場ではおよそ120頭の牛を飼育していますが…。1キロほど離れている奥の牛舎に行く道は寸断されているため、重機で牧草地を横断し、向かうしかありません。 松田さん
「(Q.かなり牛の鳴き声が聞こえてくるがいつも?)こんなに鳴いてないですね。水が足りないのが一番大きいのかなと。やるせない気持ちですよね。早く何とかしてやらないとという思いで動いています」  断水や停電の影響で子牛に十分なミルクを作ってやることもできません。 松田さん
「ミルクが欲しくて、欲しくて欲しくてって…」
「(Q.ご飯はいつもどうしている?)粉ミルクをお湯で溶かして」
「(Q.水が今出ていないですよね?)水が出てないので湧水をカセットコンロで沸かして、そのお湯で粉ミルクを溶かしてやっている」

 牛たちの飲み水は丸一日かけてためた湧き水。それを重機を使って手作業で牛舎まで運びます。

松田さん
「(Q.どれくらい大事な水?)この水がないと牛の命をつなげないのですごく大事なものです」

次のページは

■「搾乳」が一番困る 震災の傷跡も残るなか

■「搾乳」が一番困る 震災の傷跡も残るなか

 震災直後、番組は松田牧場を取材していました。 松田さん(1月)
「牛舎は見て分かる通り、いつ崩れてもおかしくないような状態」

 4棟ある牛舎の内の1棟は、震災後、全壊判定を受け、取り壊す予定だといいます。しかし…。

松田さん
「(Q.奥支えている木があるのは何?)地震で牛舎が傾いてしまったので、これ以上倒れないように木で、自分たちで支えを作りました」
「(Q.牛たちは移動できない?)移す場所もないので、ここで今も飼っています」  震災の傷跡が残る中で、今回の大雨に見舞われた松田さんが一番困っているのが「搾乳」です。 松田さん
「特に生乳の出荷量が今回は一番大きいのかなというふうに思います。やっと生乳の出荷量も戻ってきたところだったんですけど、また振り出しに戻るという感じですね。今回の大雨で…」

 搾乳には大量の水や電気が不可欠です。搾乳できずお乳が張ってしまうと病気になるケースもあるといいます。

 そんな中、25日昼すぎに発電機が届き、手作業で運んでいた水を装置を使ってやることができるようになりました。 松田さん
「(Q.水をあげるのは何日ぶり?)こういったものを使って水をやれるようになったのは5日ぶり」
「(Q.大雨以来?)そうですね」

 度重なる自然災害で、絶望の淵に立たされながらも松田さんは前に進もうとしています。

松田さん
「この子は大雨があった時に生まれて。命というのは待ったなしだというのにつきますね」
「今回も、地震の時もそうですし、大切な人を亡くした人はたくさんいるわけで。その人たちのために牧場が憩いの場として使っていただけたらなと思っています」

(「グッド!モーニング」2024年9月26日放送分より)

この記事の写真を見る
・「あきらめた。もうダメ」地震後もう少しで住める状態も…“能登豪雨”住民の生活激変・能登豪雨 ドローンで見た被害の全容・「食料全然ない…」ライフライン寸断“孤立集落”の現状明らかに 能登豪雨死者8人・能登豪雨 孤立した町…土砂崩れ、濁流 厚い護岸壁が崩れ落ち、標識も折れて歪む・地震から復興半ば 半壊からリフォームも…濁流が直撃 能登豪雨で死者7人、不明6人に

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。