遺体のあった部屋などを片付ける「特殊清掃」の会社「グッドサービス」(名古屋市中区)が急病になった人の早期発見につながるスマートフォンのアプリを開発し、能登半島地震の被災地で孤独死の減少に役立てようとしている。被災者向けに格安で提供する山村秀炯(しゅうけい)社長(43)は「孤独死は本来あるべき人の姿ではない。万が一の際も誰かがいち早く見つけられるようにしたい」と話す。(脇阪憲)

仮設住宅の入居者にアプリを周知する山村秀炯社長(左)=石川県輪島市里町で

◆GPS使わずプライバシーに配慮した設計

 「もし活」というアプリは、設定した時間内にスマホに物理的な動きがなかった場合、事前に登録した親族などに連絡が入る仕組み。1人暮らしの人などが急病で動けなくなったり、亡くなっていたりする際に発見を早める狙いがある。  カメラや衛星利用測位システム(GPS)で利用者の動きを把握するのではなく、スマホの動きを感知するジャイロセンサー機能を活用しプライバシーに配慮した。この機能に注目した見守りサービスは珍しく、特許出願を検討している。  山村社長は孤独死の現場を「嫌というほど目にしてきた」といい、亡くなってから2カ月ほど放置された遺体もあったという。「孤独死はたびたび話題になるが、そうやって情報が出るのは氷山の一角でしかない。意外と身近にあるもの」と強調する。

◆「誰かが早く見つけてくれる、という安心感を」

「もし活」アプリの画面

 地震で大きな被害を受けた石川県輪島市在住の知人から、輪島市の仮設住宅に住んでいた1人暮らしの高齢女性が5月に亡くなったと伝え聞いた。「アプリを利用してもらえれば」と市を訪ね、仮設住宅の見守りを担う団体のほか、入居者に機能を説明して回った。「『自分は大丈夫』という人ほど孤独死しやすい。誰かが早く見つけてくれるという安心感で、心の不安を解消できれば」と願う。  料金は通常月額300円だが、被災地での孤独死や遺体の長期放置を防ごうと、石川県在住者には年100円で3年間限定で提供する。問い合わせは、グッドサービス=電052(242)9468=へ。 

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