視聴者から寄せられた天気にまつわる素朴な疑問や、珍しい気象現象、知りたいことなどを村田気象予報士がわかりやすく解説する「天気のギモン」のコーナー。
今回のテーマは「残暑いつまで?9月の暑さの原因と影響は」です。
まず、1897年から2023年までの福井市の9月の平均気温の変化を見てみると、上昇傾向なのが分かります。1900年代の平均気温は22度、2000年代の平均気温は23.5度と1.5度上昇しています。「たった1.5度」と思うかもしれませんが、もし私たちの体温が1.5度上がれば大変な事。「たった1.5度」ではないのです。
さらに、2023年の平均気温は26度と観測史上最も高くなり、2024年も2023年に迫るかのような気温で経過しています。
原因としては、やはり地球温暖化があると思います。中でも、日本近海の海面水温が高いことが原因です。フィリピン近海の海面水温が高く対流活動が活発となり、積乱雲が発生して上昇気流が強くなるため、周辺では下降気流が強まり、太平洋高気圧の勢力が強くなっているのです。さらに、大陸にあるチベット高気圧の張り出しも強めています。ここ数年は、このように海面水温が高いので、9月にかけて気温が上がりやすい状況が続いています。
この厳しい残暑は今後1カ月程、続くと予想され、12日以降も30度を超える日が続くでしょう。9月下旬から10月上旬にかけても気温は高く、25度を超える夏日となる日が多くなりそうです。
さらに注目したいこと、もうひとつあります。南の太平洋高気圧の勢力が強く、周辺では東風が顕著に吹いています。インド洋周辺から吹く南西モンスーンも強い時期で、合流するところで大きな風の渦をつくっています。これを「モンスーンジャイア」といいます。つまり南の海上は、台風などが発生しやすい状況にあります。
また、チベット高気圧の勢力が強く張り出しているため、偏西風が日本付近で平年より北を流れています。日本に接近した台風は移動速度がゆっくりになる傾向にもあります。
今後、台風が、先日の台風10号のような動きをする可能性もありますので、備えも重要です。
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