福島第一原子力発電所2号機で、8月22日に燃料デブリの試験的取り出しに着手しようとしたところ、使用する設備にミスが見つかり中断した問題で、9月4日、東京電力の小早川社長が、齋藤経済産業相に原因と対策を報告した。
小早川社長は「高線量下の作業でもあり、東京電力の管理が不十分だったことが直接の要因」と報告し、「工程全般において東京電力の確認プロセスを再精査する」とした。
これに対し、齋藤経産相は「東京電力自身のこれまでの認識と行動を徹底的に改めていただくとともに、工程管理や確認をしっかりと行うよう強く求める」としている。
現場のミスは、デブリ取り出しのロボットを格納容器の中に押し込むための”棒の順番”が違っていたというもの。
作業の1か月前、これを組み立てた時点から間違っていたとみられ、東京電力の立ち合いや確認はなかった。
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【東京電力小早川社長】
この燃料デブリの試験的取り出し作業は、福島第一原子力発電所の廃炉作業の中でも極めて重要な位置づけでございます。
地域の皆様をはじめ広く社会の皆様にご関心、ご期待を寄せていただいたところでもありますので、初日での作業中断となり、ご心配をおかけしたことにつきましては、改めてお詫びを申し上げます。
私にとっても痛恨の極みであり、大変重く受け止めております。
8月23日に齋藤大臣からご指示をいただきました本事案の要因と対策について本日ご報告させていただきます。
言うまでもなく、当社は廃炉作業全体に対して最終的な責任を負っております。このため、今回の燃料デブリの試験的取り出しという重要な工程において、テレスコ式装置の据え付けなど、念には念を入れて作業を行ってまいりました。
しかしながら、単純作業の部分におきまして、管理が十分でなかったことが今回の事案の直接的な要因と考えております。
具体的には、現場が高線量で、重装備が必要な厳しい環境であるにもかかわらず、パイプ運搬等の一般的な準備作業において、当社を含め、実際の作業の手順の確認が十分ではありませんでした。
対策といたしましては、今後の廃炉作業において、極めて重要な第一歩である燃料デブリの試験的取り出しの再開に向けて、準備作業を含め、工程全般について、当社の確認プロセスを再精査し、その結果を踏まえて、当社自身による確認を行ってまいります。
廃炉作業は中長期にわたる極めて困難な作業でございます。今回の反省を教訓とし、高線量エリアなど作業環境が厳しい場所での廃炉作業に活かしてまいります。
最後になりますが、改めて当社にとって最重要ミッションであります廃炉作業において、今回のような事案を引き起こしたことにつきまして、東京電力のトップとして心よりお詫びを申し上げます。
先日大臣から、今後の廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入っていくことになるなかで信頼に関わる極めて深刻なだとのご指摘をお受けしており、これを重く受け止め、廃炉の貫徹に向け、私が先頭に立ち、緊張感をもって安全最優先で着実に取り組んでまいります。
【齋藤経済産業相】
今回の事態を踏まえた私の認識をお伝え申し上げますと、今回のような高線量下での作業におきましては、準備作業を含めた細部に至るまで東京電力自らが目を配って確認しなければ、当初計画した工程通りとはならない結果に至る、ということであると思います。
改めて重く受け止めていただきたいと思います。
今後は東京電力自身のこれまでの認識と行動を徹底的に改めていただくとともに、こうした作業特性を十分考慮して、報告内容に基づいて、準備作業も含めて、工程管理や確認をしっかりと行うよう強く求めたいと思います。
今後廃炉の根幹となる、最も困難な作業段階に入っていくことになるなかで、東京電力の廃炉作業の安全性及びその遂行能力について、地元や国内外に不安を抱かせることの無いように、引き続き、小早川社長自らが先頭に立って、すべての廃炉作業において、高い緊張感をもって対応することを厳しく求めたいと思います。
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