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 岡山県の瀬戸内海「鴻島(こうじま)」。断崖絶壁に別荘や住宅が立ち並んでいる。バブル崩壊後は一時、廃虚だらけになったが、今、日本だけではなく海外からの移住者も増えているという。

■海を見渡せるマイホームは「200万円」

 岡山県備前市、JR日生駅前の港から定期船に乗って15分。  13の島々からなる日生諸島の一つ「鴻島」。島の周囲はおよそ12キロある。  海辺ギリギリに建ち並ぶ豪華な別荘の数々に、山の断崖絶壁に建つおしゃれな住宅。まるでエーゲ海に浮かぶリゾートのような風景が広がっている。鴻島の住民は50人。およそ半数が移住者だ。  兵庫県姫路市から移住した中島康徳さん(48)愛華さん(48)夫婦。インターネットで鴻島を知り、5年前に移住した。その決め手となったのが、自宅のベランダから眺められる瀬戸内海の絶景だ。 中島さん
「穏やかな海と島々。本当に癒やされますね」 愛華さん
「この景観が唯一無二。風を受けたらフワッと気持ちが晴れるので最高」  海と断崖絶壁に建ち並ぶカラフルな住宅の風景を自分たちだけで独占。さらに、瀬戸内海に沈む夕日は圧巻。家の中にいながら絶景を体感することができる。  山の高台にあり、海を見渡せるマイホーム。築25年、14畳のリビングに7畳のロフト付き。その値段は…。 中島さん
「リフォームとか諸経費とかを入れて200万円でしたね。安かったっていうのも、会社員の僕にとっては決め手となった」

 全国の中古一戸建ての平均価格は2830万円。それに比べると、格安の価格で購入することができた。

中島さん
「必要に応じて兵庫県から通ったり、ここから通ったりっていう2拠点的な使い方」

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■穏やかな気候に…自然、動物との生活

■穏やかな気候に…自然、動物との生活

 神戸市の会社に務める中島さん。コロナ禍を機におととし住民票を鴻島に移し、週の半分を鴻島、もう半分を兵庫県の自宅で暮らす2拠点生活だ。

 島からの通勤手段は…。

中島さん
「(Q.ボート?)はい、免許は持ってますね」  小型ボートをおよそ100万円で購入。ボートと車を使い2時間半かけて、神戸市まで通勤している。買い物も自家用ボートで。 中島さん
「島にはね。お店も何もない。自販機もない」  定期船は1日5便運航。鴻島から15分の所にある港町には、スーパーや飲食店、病院や学校など便利に生活できる環境が整っている。 中島さん
「季節ごとにいろんな景色が見られますし、すごく心癒やされます」 愛華さん
「すごく穏やかな気候。自然とか動物とか、本当に楽しい時間を過ごさせてもらってる」

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■民泊も…利用者の半数は外国人

■民泊も…利用者の半数は外国人

 鴻島への移住は、日本人だけではない。こちらは5年前に中国から移住してきた艾(アイ)雪峰さん(47)欄梅芳さん(39)夫婦。 艾さん
「この家は比較的古いので、100万円しかかかりませんでした」 欄さん
「修理(リフォーム)は200万円」 艾さん
「安い。安い」 欄さん
「安いです」  艾さん夫婦は、2年前から鴻島で民泊を経営。  築34年の別荘を民泊用にリフォームし、ベッドを置き、畳とフローリングもすべて張り替えた。

 外国人観光客が年々増え、現在は民泊利用者の半分以上が外国人だという。

艾さん
「アメリカ人とオーストラリア人は、ここで日光浴をするのが大好き。太陽を浴びながらビールを飲んで、海の景色を楽しんでいるよ」

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■多拠点生活で島の人口も増

■多拠点生活で島の人口も増

 バブル期だった1980年代後半、一大別荘地として開発された鴻島。 30年以上鴻島に住む人
「大きなクルーザーが来てね。ヘリコプターで来る人もいた。すごい華やいでいた」

 しかし、庭に大きなプールがある別荘は、プールの塗装が剥がれ家の屋根や壁が崩れてしまっている。

 バブル崩壊で別荘の管理会社は次々と倒産。残された別荘は空き家となり、廃虚と化した。

 一体なぜ、「廃虚となった離島」に移住者が増えたのか?仕掛けたのは、別荘をメインに扱う大阪の不動産会社だ。

三和開発コンサルタント
高野光秋代表
「こういう島があるんだということを(お客さんから聞いて)僕も知って、穏やかな海がすごく景色きれい。可能性というのは思いました」

 離島で、築年数が経過していることから「瀬戸内海を望む家を格安で手に入れられる」とSNSやYouTubeでPR。

 最近の5年間だけでも60軒以上を販売。そのうち15軒以上を、アメリカ人、カナダ人、ドイツ人、オーストラリア人、中国人などの外国人が購入したという。 都会と真逆 高野代表
「自動販売機もないし、買い物施設もないし、何もない島。もう本当に都会と真逆で、スイッチのメリハリがいいよねと。究極の隠れ家、究極の非日常を味わえる」  人口が減っていく地域が多いなか、移住者が増えたことで鴻島の人口は少しずつ増えてきている。 高野代表
「最近の傾向(コロナ禍以降)としては、多拠点生活は増えてきてるとリアルに感じてる。この時期には、こっち(鴻島)とか。だいたい、みなさんそんな感じで使い分けされている」 65年以上鴻島に住む人
「(鴻島が)にぎやかになってな。イノシシやシカばかり相手にしてもしょうがないしな」

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■海を間近に感じられるカフェも…

■海を間近に感じられるカフェも…

 去年8月、島にとって新たな出来事も。

大西悠介さん(42)
「(Q.すぐ海ですね)海の前に物件があるとか、プライベートビーチやんみたいな感じになったので」  島で唯一となるカフェがオープン。店長は、去年5月に大阪から移住してきた大西さん。 大西さん
「自然が本当に多い、空気がきれい。星もきれい。夕日も朝日もきれい」

 このカフェでは、海を間近に感じながらバーベキューも楽しめる。

大西さん
「移住者の方は増えてもらいたいし、増やすためにはやっぱり働く場所がないとダメなので。仲間が増えればいいな」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年8月20日放送分より)

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