台風5号が12日に東北地方に上陸して日本海側へ横断する見通しとなり、気象庁と国土交通省は10日、大雨による土砂災害や河川の氾濫、浸水、暴風に厳重な警戒を呼び掛けた。
同庁の立原秀一・主任予報官は記者会見で「11~12日の総雨量が平年の8月1カ月分を超える恐れがある。岩手県では400ミリ前後になる可能性がある」と説明。市町村の避難指示などに注意し、安全を確保するよう求めるとともに、旅行や帰省の際は風雨の強まりや交通への影響を考慮して「(計画変更など)柔軟に対応してほしい」と話した。
同省の尾松智・河川保全企画室長は「7月下旬の大雨で河川が氾濫した山形、秋田両県では堤防などが完全に復旧していない所がある。氾濫や浸水に一層の注意が必要だ」と指摘した。
5号は10日午後3時、関東の東海上を時速20キロで北へ進んだ。中心気圧は985ヘクトパスカル、最大風速25メートル。東側460キロ以内と西側280キロ以内が風速15メートル以上の強風域。
台風の統計開始以来、東北地方に太平洋側から上陸した例は、2016年8月の10号と21年7月の8号の2回ある。10号は岩手県に上陸し、高齢者施設の9人が洪水で死亡するなど、大きな被害が生じた。
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