外国人宿泊者数が、東京・大阪・京都・北海道に次ぐ全国5位の福岡県。なぜ外国人観光客は、福岡を訪れるのでしょうか。そして、外国人に人気の意外な穴場スポットとは?
■父親が「娘のノート」のために日本へ
福岡空港の案内所で頭を抱える外国人男性は、夕方の便で香港から福岡空港に到着したところです。 香港から来た男性「タクシーで広島まで行けないかな」
「(Q.タクシー?広島まで?)それがクレージーなことは分かってるよ」 男性は「娘のために一刻も早く、およそ300キロ離れた広島県の呉まで行きたい」と訴えます。 香港から来た男性
「(Q.10万円ほどかかりますよ)10万円?タクシーは忘れよう」
地図を見てある程度の出費は覚悟していましたが、「10万円かかる」と聞き頭を抱えます。
そこで案内所では、最も早い手段として博多から新幹線で広島まで行き、そこからタクシーを使うことを提案しました。
香港から来た男性「(Q.どうですか?)ああ、よく分かったよ。それで行こう。ありがとう」 「すぐに博多駅に向かう」という男性。一体、何があったのでしょうか? 香港から来た男性
「娘が2週間前、日本に来たんだが、呉に大切なノートを忘れたんだ」
娘が仕事で使うノートを日本に忘れてきたことが分かり、急きょ、父親が捜すために来日したというのです。
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■外国人観光客が「福岡」を訪れる理由■外国人観光客が「福岡」を訪れる理由
福岡空港国際総合案内所には、一日およそ500人の外国人観光客が訪れます。一体、なぜ福岡に? ドイツから来た家族「食べ物は外せないね」
「うん、食べ物は大事」
みなさん、豚骨ラーメンやもつ鍋など福岡のグルメを楽しみにしていますが、博多の屋台は今や海外でも知られる存在です。
香港から来た家族「川沿いに並んでいるでしょ。僕らは“屋台”に行くために来たんだ」 そのため、6月からは「屋台コンシェルジュ」という専門の相談係も登場しました。アイルランドから来た4人家族も利用しました。 アイルランドから来た家族
「屋台に行きたいんだけど」
「(Q.たくさん屋台があるのですが、オススメはここです)サンキュー」
「(Q.今夜、屋台に行くのですか?)ああ、一度行きたかったんだ。日本は初めてだからワクワクするね」
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■「地元の雰囲気を」屋台グルメ体験■「地元の雰囲気を」屋台グルメ体験
博多にはおよそ100件の屋台があり、中洲・天神・長浜の三大屋台街があります。川沿いの中洲エリアは博多屋台の代名詞で、多くの観光客や外国人であふれます。天神エリアは街の中心に位置し、長浜エリアは地元の人も多く、ローカル色が豊かなのが特徴です。
アイルランドから来た家族「ワオ!ここね」
「なんか市場みたいだ」
アイルランドから来た家族が「地元の雰囲気を感じたい」とやって来たのは、長浜の屋台街です。明太子料理専門など個性派屋台が並ぶのも人気の秘密です。英語のメニューをチェックしました。
アイルランドから来た家族「どれも変わった食べ物ね」
「鳥の首の肉だって」
「とてもいいね」
「観光地じゃなくて、地元を感じられていいわ」
飲み物が届いたところで「チアーズ」と乾杯。お客さん同士の交流は、屋台の醍醐味です。
屋台グルメの一つ目は、メンマの炒め物。
アイルランドから来た家族「これ、おいしいわよ」
この屋台では、チーズや野菜を使った創作メニューが人気で、その中でも一番人気だというのが、レタスの豚肉巻きです。
おしゃれな盛り付けに思わず写真を撮ります。お父さんが一口食べると、親指を立てて笑顔でジェスチャーをしています。そして、親子が最も楽しみにしていたのがラーメン。屋台では焼きラーメンが定番です。
アイルランドから来た家族「最高だね」
「とてもおいしいよ。豚肉がとてもいい味だね」
「最高の体験だったわ。彼は面白いし。食べ物も良かったわ」
「屋台最高!」
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■福岡の穴場スポット「糸島」「かえる寺」■福岡の穴場スポット「糸島」「かえる寺」
福岡と言えば、屋台以外にも大宰府天満宮や門司港などが人気ですが、観光案内所の多田望さんによると、今、外国人に人気の穴場スポットというのが「糸島や小郡のかえる寺」です。街から少し離れると、自然豊かなのも福岡の魅力です。
糸島は博多から車でおよそ1時間の距離にあり、桜井二見ケ浦の夫婦岩などが定番です。糸島の中でも外国人に穴場として人気なのが、自然の中で“ある体験”ができるスポットです。
フランスから来た家族が訪れたのは、県指定の名勝「白糸の滝」です。落差24メートルの壮大な眺めです。 フランスから来た家族「涼しくていいね」
客の多くが外国人ですが、実は人気の秘密は滝の他にもう一つありました。それは「日本の夏の風物詩」流しそうめんです。家族は未知の体験に大喜びです。
フランスから来た家族「パリにはたくさんのレストランがあるけど、こんな店はないよ。とてもユニークな文化だね」
「九州ですべきことを検索したら、この流しそうめんが出てきたから来たのよ」
海外のSNSには「竹のすべり台から流れてくるそうめんを食べるのがかなりオススメ」とも投稿されています。
「発祥は九州」と言われる流しそうめんは、日本の文化体験としても外国人に人気です。
フランスから来た家族「とても楽しいよ!」 外国人に人気の穴場スポットで、特に今オススメというのが小郡市のかえる寺です。
如意輪寺の境内には1万個以上のカエルの石像や置物があり、別名「かえる寺」と呼ばれています。さらに夏の時期には、願い事が書かれた涼しげな風鈴がおよそ5000個もあります。
SNSを見て来たというイタリア人女性は重なり合う風鈴の音に「癒されるわね」「イタリアとは全然違う。本当にアメージングな場所だわ」と話します。
台湾から来た親子は、想像以上のカエルにびっくりしていました。
台湾から来た親子「最初は数匹のカエルがいるくらいだろうと思ったら、たくさんの種類のカエルがいたので、とても驚いたわ」 海外でもカエルは金運が上がり、幸せを呼ぶ縁起物だといいます。この寺はパワースポットとしても人気です。 台湾から来た親子
「かなりクールな場所。カエルのお寺なんて初めて」
なかでも、一番気に入ったのは、なんと口からシャボン玉が出てくるカエルです。
台湾から来た親子「シャボン玉が出てくるカエルが面白かったわ」
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■結婚の節目…日本を訪れる理由■結婚の節目…日本を訪れる理由
「九州の玄関口」福岡空港には、福岡を拠点に九州各地に向かう人も多くいます。 スイスから来た女性「熊本に行って、高千穂(宮崎)を見て、阿蘇山(熊本)にも」
案内所にやってきたアメリカ人カップルも「長崎に行く」と言いますが、実はハネムーンです。我々は、二人の長崎へのハネムーンに同行しました。二人はなぜ、日本の長崎で新婚旅行を?
アメリカから来たカップル「(Q.なぜハネムーンを長崎で?)私たちは長崎のクリスチャンの歴史に興味があるの。大学で日本語と宗教を学んだから、その両方を合わせたのが、今回のハネムーンね」 「坂の街・長崎」は、平和公園やグラバー園などがあり、異国情緒もある外国人に人気の街です。二人は急な坂道をのぼり、絶景スポットへ…。 アメリカから来たカップル
「完璧だ」
「とても静かで平和的だわ」 続いて、二人がやって来たのは、世界文化遺産にもなっている大浦天主堂です。 アメリカから来たカップル
「見て。教会だよ」
「とっても美しいわ」
大好きな日本とキリスト教文化が融合した長崎は、二人にとって理想の新婚旅行先だったのです。
一体なぜ、そこまで日本が好きなのでしょうか。
実は、妻のアイモニーさん(24)は、高校時代に栃木でホームステイをしていました。そば打ち体験などの日本文化に感銘を受け、大学では日本語を専攻するほど日本好きになりました。
その後、長崎で最も訪れたかったという場所へ。市内の小高い丘を登った先にあるカトリック本河内教会に向かいました。 アイモニーさん「コルベ神父は西洋でよく知られる人物で、6年間ここに住んでたの」
コルベ神父は長崎での布教後、アウシュビッツ収容所で身代わりとなり死を選んだ「愛の殉教者」として、世界的に知られる聖人だといいます。
結婚という節目に大好きな日本に来た夫婦は、教会で祈りをささげます。
アイモニーさん「念願の長崎に来られて、本当に良かったわ」 この記事の写真を見る
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