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連日の猛暑日、熱中症とその後遺症にも注意が必要です。
脳に障害が残るケースもあります。

■甘く見てはいけない熱中症 後遺症の可能性も

全国の熱中症による救急搬送者数です。
7月に入って、1週目が9105人、2週目が6194人と、6月と比べて急激に増えていて、過去最多のペースで増加しています。

初診時(医療機関に運ばれたとき)の熱中症の重症度です。
軽症、中等症、重症、死亡とありますが、中等症以上だと、入院治療が必要となります。
救急搬送された方のうち、入院治療が必要か、亡くなっている方が、約4割です。 熱中症の重症度は、3段階に分けられています。 1度(軽症)は、立ちくらみ、手足のしびれ、こむら返り(ふくらはぎの筋肉が急につる)などの症状。

2度(中等症)では、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感などの症状。

3度(重症)になると、中等症の症状に加えて、意識障害、けいれん、まっすぐ歩けないなどの症状が現れ、場合によっては死に至ります。 「熱中症で死亡を免れても、3度(重症)熱中症では後遺症を生じる例が少なくない。重い後遺症だと、臓器や脳に障害が出てしまい、脳に障害が出ると多くは元に戻らない」といいます。 重症の熱中症による、脳の後遺症です。 『高次脳機能障害』 注意力・記憶力・感情を制御する能力に問題が生じます。

『小脳失調』 歩行障害、舌のもつれが起きます。

『嚥下障害』 食べ物が飲み込めなくなります。

『パーキンソン症候群』 歩行姿勢が不安定になる、よく転倒するなどの症状が出ます。 次のページは ■軽症・中等症でも長く苦しむ後遺症 自己処置の注意点は?

■軽症・中等症でも長く苦しむ後遺症 自己処置の注意点は?

軽症・中等症の熱中症でも、後遺症の危険があります。

Aさん・男性75歳のケースです。
4年前に熱中症を経験していて、今回が2度目です。
6月半ば、室内で仕事中、熱中症の症状が出ました。

Aさんによると、
「脱水になったんじゃないかと思う。熱がこもって体の芯が熱くなってくるような感じ」だったということです。 そして、熱中症の症状が出た当日受診しました。
医師からは、「間違いなく熱中症」と診断され、血液の電解質量が低く、点滴を受けました。 熱中症の症状は落ち着きましたが、だるさ、食欲不振、めまい、吐き気などの症状が続いたので、再度受診しました。
すると、医師から「熱中症の後遺症じゃないか」と言われました。 「だるくて横になるが、だるさでじっと寝ていられない。生きていられないくらいのだるさ。自分の体じゃないような感じ」と話しています。 Bさん・男性55歳のケースです。
製造業の仕事をしています。
2023年8月半ば、40℃を超える室温・湿度の高い中で2時間半ほど仕事をしていて、体があちこちつり出し、発汗と排尿がなくなりました。
そして、水分と食事を体が受け付けなくなりました。 当日、病院で受診すると、中等症の熱中症と診断され、1リットルの点滴を受けました。
その後、だんだん回復し、その日に帰宅しました。 翌朝、起きると激しい倦怠感、頭痛がありました。
仕事を休み、再度受診すると、熱中症の後遺症と診断されました。 そして、約1年経った今でも、締め付けられるような頭痛がときどきあり、
2カ月に1回通院しています。 熱中症かなと思ったときに、自分で対処する際の注意点です。

注意(1)『解熱鎮痛剤を自己判断で服用しない』

理由は、薬を飲んでも効果が期待できないからです。
発熱は、体内に炎症が起こって熱が出ます。
熱中症は、高い外気温が原因で体温が上昇します。
解熱鎮痛剤は、炎症による痛み・発熱に効果があるので、熱中症による体温上昇には、効果が期待できません。
また、脱水状態で服用すると、腎障害のリスクを高めます。

注意(2)『大量に汗をかいたときに、水だけをがぶ飲みしない』

理由です。
塩分が足りずにけいれんを起こしやすくなります。
また、体内に浸透しづらく、尿となって出ていきやすいです。

「何度も熱中症になると、臓器へのダメージの蓄積により、後遺症の発生につながる危険性がある」 次のページは ■熱中症予防 効果的な体の冷やし方 カギは深部体温

■熱中症予防 効果的な体の冷やし方 カギは深部体温

熱中症の予防法です。

熱中症は、高温多湿な環境や活動などで、深部体温が上昇して、熱を外に逃がせずに様々な症状が生じます。

予防法の1つが、『手のひら冷却法』です。

ひんやりとして、気持ち良いと感じる水に(10〜15℃程度)に、手のひらを5〜10分程度つけます。

手のひらには、『AVA血管』という、体温調節を担う血管があります。
この血管は、体温が上がると拡張し、大量の血液を体内に流します。
『AVA血管』を冷やすことで、体内を冷たい血液が巡り、深部体温を下げることが出来ます。 首や脇の下を冷やすよりも、AVA血管が通る手のひらなどを冷やした方が、素早く深部体温が低下するというデータもあります。 より簡単な予防法としては、冷たいペットボトルや、タオルやハンカチなどを巻いた保冷剤を握る方法でも、大丈夫です。 熱中症になってしまったら、手のひらを冷やして、さらに、首や脇の下などの太い血管を冷やすのが、効果的です。 (「羽鳥慎一モーニングショー」2024年7月23日放送分より) この記事の写真を見る(22枚)
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