厚生労働省は30日、マイナ保険証の利用が増えた病院や薬局に支援金を支給する利用促進キャンペーンの期間を、8月末まで1カ月延長すると発表した。当初は5~7月の3カ月間だった。

◆マイナ保険証利用を増やした病院や薬局への「報奨金」

マイナ保険証の利用率は6月時点でも1割に届いておらず、厚労省は期間延長について「医療機関や薬局において引き続き利用促進の取り組みを進めていただく」としている。

病院に設置されたマイナ保険証の読み取り機=名古屋市で、2023年7月撮影(一部画像処理)

低迷するマイナ保険証の利用促進のため、5月から「集中取組月間」と位置づけ、病院や薬局を通じて利用を働きかけていた。

◆「報奨金」でテコ入れしたが…

厚労省は、利用促進のため、217億円を予算に計上。支援金は、利用を増やした病院や薬局へのいわば報奨金だ。昨年10月に比べてマイナ保険証の利用が増えた場合、増加人数に応じて支給する。 当初、支援金の上限は、病院で20万円、薬局や診療所で10万円だった。6月になって上限を倍増し、病院は最大40万円、薬局や診療所は20万円に引き上げた。

◆反発広がり、トラブルも

支援金の支給には、窓口で患者にマイナ保険証の利用を促す声かけやチラシの配布などを条件としている。厚労省は、声かけを徹底するため、声かけの「トークスクリプト」なる台本も作成していた。 ところが、厚労省が利用促進キャンペーンを強化した5月以降、窓口での声かけによって、患者からは「まるでマイナ保険証を作れと強制されているようだ」といった反発する声が聞こえてくるようになった。 中には、「マイナ保険証がないと薬がもらえない」と勘違いし、不本意ながらマイナ保険証に登録したトラブルまで起きている。 利用促進キャンペーンが始まってから、マイナ保険証の利用率は少しずつ増えているものの、6月時点でも9.9%にとどまっている。(マイナ保険証取材班)    ◇ マイナ保険証に関する疑問を募集しています。情報提供や、ご意見も受け付けています。メールはtdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」へ。 

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