鳥取市の中心部ににぎわいを生み出そうと、市がJR鳥取駅周辺などで大規模な整備事業を計画している。人口約18万人と全国の都道府県庁所在地では最も少ない市が目指すのは、「若者や子育て世代が住みたいと思えるまち」、そして「災害に強いまち」だ。(富田祥広)
県都の玄関口、鳥取駅周辺にあるバスターミナルや地下通路、広場、駐輪場などは老朽化が進んでいる。市民や利用者へのアンケートでは「利用しづらい」「薄暗くて寂しい」といった声が上がった。さらには娯楽や文化施設、おしゃれなカフェなどを求める意見も寄せられていた。
市は昨年8月、交通やまちづくりの専門家も交えた官民連携の会議体を立ち上げ、駅周辺の再整備に向けた議論を重ねてきた。今年6月に整備方針をまとめた基本計画を策定。若者や子育て世代を意識し、駅の周辺にヒト・モノ・コトを集める方向性を示した。
基本方針では、鉄道の高架下を活用して駅と直結するバスターミナルやタクシー乗り場を設け、スムーズな乗り換えと災害や豪雪にも対応できる交通ターミナルに再編することを掲げた。
その上で、駅と駅前アーケードをつなぐ歩行者専用の高架通路やオープンスペースを整備する。子どもからお年寄りまで安心して移動でき、市街地に向けてにぎわいが広がっていくイメージだ。
また、駅やバス、タクシーを使う人たちが快適に過ごすことができ、災害時には受け入れ施設にもなる待合環境のほか、市民が集いたくなる文化施設なども整える。民間の投資も呼び込み、スーパーやカフェ、ホテルなど集客力のある複合施設も整備する。
市は今後2年間で具体的な整備計画を作り、2031年度ごろの整備完了を目指す。さっそく今月には市と県、JR西日本、鳥取商工会議所の4者で協議会を立ち上げ、整備手法や役割分担の話し合いを始めた。今秋には若者や子育て世代を対象にワークショップやアンケートを実施し、新たに設ける施設のアイデアや要望を募るという。
駅の高架化以来、半世紀ぶりとなる大規模な再整備に向け、深沢義彦市長は「市民にも分かりやすい情報発信をしていきたい」と話している。(富田祥広)
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一方、鳥取駅の約1キロ北東にある市役所の旧庁舎跡地について、市は緑地やイベント広場とする基本計画を2022年度に策定した。今秋にも整備を始め、26年3月までに利用を始める方針だ。
市庁舎は19年に現在の鳥取駅西側に移転。本庁舎跡地に整備する広場は、災害時には市民の避難場所や復旧活動の拠点となることを想定し、炊き出しのかまどとしても使えるベンチやマンホールトイレなどを設置する。
また、37台分の臨時駐車区画を設け、常設の40台分の駐車場とあわせ、災害時は支援物資を搬入する車の駐車スペースにする。
本庁舎跡地の南西にある第2庁舎跡地にはコンビニ「セブン―イレブン」の出店が決まり、オープンに向けて準備が進んでいる。
跡地整備の事業費は8億6810万円。5億7430万円を今年度の一般会計補正予算に盛り込み、残りを来年度の債務負担行為として設定した議案は、市議会6月定例会で可決された。(富田祥広)
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