任意の取り調べを受けていた男性と速やかに接見させなかった埼玉県警の対応は弁護権の侵害で違法として、市川拓郎弁護士=埼玉弁護士会=が同県に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)は、弁護士側の上告を棄却する決定をした。18日付。裁判官5人全員一致の意見。対応を違法として賠償を命じた一審判決を取り消し、弁護士側逆転敗訴とした二審判決が確定した。

◆さいたま地裁は「違法」と判断、覆る

 一、二審判決によると、2017年11月、男性は詐欺の疑いで県警所沢署で任意の取り調べを受けた。市川弁護士が面会を申し出たが、署側は逮捕状の執行手続き中だとして、すぐに接見を認めなかった。

最高裁判所

 21年のさいたま地裁判決は、任意聴取中の容疑者と弁護士の面会は捜査上の支障などを理由に一方的に制限できないとし、県警の対応を違法と判断、県に5万5000円の支払いを命じた。  しかし、23年の二審東京高裁判決は「逮捕状の執行段階に至っていた場合、捜査機関の適正な逮捕権の行使を妨げることはできない」とし、県警の対応を適法と結論づけた。判決を不服とした弁護士側が上告していた。(太田理英子) 

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