広島県安芸高田市の石丸伸二前市長が、市議会の広報誌「議会だより」の発行経費を計上した予算の議決の取り消しを求めた審査申し立てについて、湯崎英彦知事は22日、棄却する裁定を下した。議決は有効と認められ、議会だよりは発行される見込みとなった。
石丸氏は2022年11月号の議会だよりに載った自身の議会答弁の要約について「表現が明らかに違う」などと是正を求め、議会だよりの発行経費を今年度当初予算案に計上しなかった。
これに対し市議会は、発行経費を追加する修正予算案を3月市議会で可決。石丸氏は再議を申し立てたが、結論は維持されたため、石丸氏は4月22日、議決は地方自治法違反だとして知事裁定を申し立てていた。
今回下された裁定では、これまで議会だよりの発行を前提とした予算が編成、可決されてきたことや、予算に追加された発行経費は、一般会計総額の0.01%と小規模であることなどを指摘。石丸氏は市の広報誌で議会だよりの内容にその都度反論しており、議会だよりの発行が市の行政運営に直接影響を及ぼすことはないなどとし、議決に法令違反などはないと結論づけた。
県は地方自治法に基づき、「自治紛争処理委員」として有識者3人を選定し、3回の会議を開催。その意見を踏まえて知事が裁定した。
議会だよりをめぐっては、議決された予算の執行を石丸氏が保留したため、5月号はウェブサイトでの掲載のみとなっていた。(柳川迅)
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