先日、ある新聞記事をめぐり賛否両論が飛び交った。「パパのお嫁さんになりたい!」の文字とともに純白のドレス姿で父に抱きかかえられる娘。父の日に合わせてフォトスタジオが企画したイベントを紹介する記事だったが、これに対し「さすがに気持ち悪くない?」「こういう感覚が子どもの性被害を生む」と批判の声が続出。その後タイトルは「成長が何よりのプレゼント」に差し替えられた。これに反論したのが、60代後半の父と外出時には腕を組むほど仲良しという40代女性・かずみさん(仮名)。『ABEMA Prime』では、「ファザコンには間違いない」と認めるかずみさんと父親に話を聞き、“仲良しすぎる父娘”について議論した。
【映像】60代父の頬にキスする40代娘
■40代娘と60代父が腕組みデート 浮気と間違えられたことも40代前半のかずみさんは、父やすおさんと一緒にリモート出演。2人の距離の近さからも、いかに仲良しかがうかがいしれるほどだ。「私にはごくごく普通。今もこんな感じでべったり」と照れる様子もない。時に“彼氏”にもなってくれる父に対しては「男性として私の行動をどう考えるかを聞きたい時、彼氏として私を見た時にどう感じるのか、父親に包み隠さず聞く。ファザコンなのは間違いない」とも加えた。2人の関係は家にいても、外出時にも特に変わることはなく、今の状態がとにかく自然なのだという。
父・やすおさんにとっても、何の違和感もないという。「この子を生まれて初めて抱き上げた時の気持ちが続いているだけ。娘が本当に困ったらパパになればいいだけで、普段は相談相手だったり、彼氏だったり。(彼氏の時は)一緒に手をつないで歩いたり、腕を組んで歩いたりする」という。仲が良すぎることについての問題を聞かれても「ないですね。娘が個人として自立していても、親と縁が切れるわけでもない。(小さい頃に)抱き上げて頬ずりしたり、キスしたりする気持ちがそのまま来ているだけ」と語った。
■心理カウンセラーが指摘する「親子共依存」の弊害父と娘が大の仲良し。これだけ見れば、理想的な親子関係にも見えるが、度を過ぎた場合には弊害も起こり得る。それが「親子共依存」だ。父娘のケースとしては「常に父親の目を気にして生活」「失敗を恐れ意思決定ができなくなる」「自立心が養われない」「自己肯定感が低くなる」「父親とパートナーを常に比較する」などが挙げられる。心理カウンセラーの江崎英子氏は「いろいろ悩みを抱えている人が多いのも確か。彼氏ができた時に、父に相談して、その価値観になってしまうと、彼氏から違うことを言われた時に『冷たい』『私を思ってくれない』など、人間関係で悩むこともある。共依存の場合は、彼氏や結婚相手が来た時に父がやたら文句を言って、なかなかうまくいかないこともある」と事例も紹介した。父との関係が強くなりすぎたばかりに、多様性を受け入れられず価値観の幅が狭まってしまうケースも出てくるという。
■親子の適度な距離感とはこの親子共依存について、かずみさんは「(当てはまるところは)全然ない。自分の意見ははっきり言う。父親に意見をもらっても、自分の考えを練り込ませて、父のことは言わずに彼氏にきちんと伝える。父とはやはり親子であっても違う人間なので、私は私の考えがあり、父の考えもある。それが1と1で足して2になれば、また新しい意見が生まれるのではないか。依存したりとか、父親と彼氏とを比べることはない」と否定した。また、やすおさんも「不安は全然ない、彼女は自立している。いろいろな形の親子があってもいい。困った時に父親になればいいだけで、父親像を押し付けることもしない。突き放したこともある」と、迷いなどもないようだ。
今回の親子のように悩みがないケースもあるが、江崎氏によれば、父親離れできていない子どもの特徴として「幼いころから何をするにもどこに行くにも親が常についてくる」「叱られた経験が乏しい」「父親の好み 望む通りに着飾ったり勉強など取り組む」などが紹介された。最も身近な人間関係である“親子”で学んだ距離感が、他人と接した時と大きく異なることでの戸惑いも生じるようだ。
■親離れ・子離れのタイミング 適度な親離れ・子離れも、親子それぞれ形はあるが、江崎氏は親の感じる「寂しさ」に注目しているという。「親には親の、子どもには子どもの生きがいや人生がある。その時に距離が保てるといい。子どもが友達やいろいろな人を見つけて社会の喜びを感じている時、親は寂しくなる。ただ、寂しさが子育ての喜びと感じられると、健全に成長していける。依存するのではなく、寂しさと向き合うことでそれぞれ幸せになっていく関係がいい」と述べていた。
(『ABEMA Prime』より)
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