国立病院機構鈴鹿病院(三重県鈴鹿市)で昨年、医師や看護師ら8人が障害のある入院患者らに暴言をはくなど、計36件の虐待の疑いのある行為をしていたことが分かった。病院は把握していたが、今年5月まで関係市町に通報していなかった。鈴鹿市などが虐待の事実関係を調べている。
病院によると、医師が障害のある患者に「ダンゴムシみたい」と言ったり、看護師が別の患者に「ごみ」と言ったりした。入浴後の患者にバスタオルをかけたまま放置する行為もあった。医師と保育士各1人と看護師6人が、身体的虐待、心理的虐待、放置などが疑われる計36件の行為にかかわったという。被害に遭った患者は25人いた。
障害者虐待防止法は、障害者が虐待を受けた疑いがある場合、速やかに被害者が住んでいた自治体に通報することを義務づけている。しかし、病院は暴言などを把握していたにもかかわらず、5月8日に匿名の情報提供を受けた機構本部から連絡があるまで通報していなかった。
病院の棚田良之事務部長は「患者らに謝罪し、行為者に改善指導したためそれで済んだと思い通報しなかった。虐待の認識や判断が甘かった」と話している。(高田誠)
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