10年前、長野県南木曽町で発生した土石流災害では1人の若い命が失われました。亡くなった男子中学生の幼なじみで、町の職員として働く男性は、「自分と同じような悲しい思いをする人を出したくない」と話しています。
昼過ぎ、慰霊碑に花を供え手を合わせた2人の男性。
原大樹さん:
「まだその時のつらさが残ってて、でもやっぱりずっと大事にしていかなきゃいけない気持ちかな。海斗ができなかったこと、少しでも自分たちが経験できれば海斗に対してもいいのかな」
10年前の土石流で犠牲になった榑沼海斗さんの幼なじみです。
榑沼さんの幼なじみ・早川海斗さん:
「『今がんばってるよ』って言うことを伝えました。あいつ(榑沼さん)のためっていうのもあるので、そういう部分も含めて頑張っていきたい」
町職員の早川海斗さん(22)。榑沼さんと同じ歳で、同じ名前で家も近所だったことから、いつも一緒に遊ぶ仲でした。
榑沼さんの幼なじみ・早川海斗さん:
「普段から明るい感じでムードメーカー、あいつ(榑沼さん)がいるところは笑顔がある。中学入って、部活誘って一緒に(サッカー)やってたので、仲間でありライバル」
10年前のあの日、臨海学習から帰って来て学校で別れた時が、最後の会話となりました。
榑沼さんの幼なじみ・早川海斗さん:
「そこで『またね』って話をして、その会話が一番最後です。『またね、また明日ね』みたいな。(亡くなったと)親から報告受けた時はあまり信じたくなかった。自分でどうこうできる話ではなかったけど、悔しかったり悲しかったりって気持ちで泣いてました」
早川さんは地元の高校を卒業後、町民の暮らしを守りたいと町役場に入庁。災害対応などを担う建設環境課に配属されています。
あの日から10年。今も強い雨が降るとあの日を思い出し、怖さを感じることがありますが、「自分のような悲しい思いをする人を出したくない」と防災への思いを強くしています。
榑沼さんの幼なじみ・早川海斗さん:
「雨があった時は自分自身ちょっと怖いなって感じる部分もあるけど、町民のために行動できる立場ではあるので、自分の中で危機感を持って行動できるように意識してます。(災害は)どうしても防ぎきれないところもあるので被害者を出さない、悲しい思いをする人を出さないことは意識していきたい」
榑沼さんの祖母の沼美智子さんは、NBSの取材に「長いようで短い10年だった。会いたいけど、それがかなわないから、私たちが前を向いていくしかない」「災害を忘れずに教訓をずっと受け継いでいってもらいたい」と話していました。
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