広島県安芸高田市の石丸伸二前市長のSNS投稿や発言で名誉を傷つけられたなどとして、山根温子市議が石丸氏と市に計330万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が3日、広島高裁であった。倉地真寿美裁判長は、山根市議から「恫喝(どうかつ)」を受けたとする石丸氏の主張を名誉毀損(きそん)と認めて市に33万円の支払いを命じた一審・広島地裁判決を支持し、市と市議双方の控訴を棄却した。
判決などによると、石丸氏は2020年9月25日に、同日の市議会で居眠りをしている市議がいたと自身のツイッター(現X)に投稿した。この投稿を巡って同月30日、石丸氏は市議たちと意見交換会を開き、翌10月1日には「敵に回すなら政策に反対するぞ、と説得? 恫喝? あり」などと投稿した。
同月20日の全員協議会では「議会を敵に回すと政策が通らなくなりますよ」という「恫喝」発言をしたのは山根市議だと名指しした。
高裁判決は一審判決と同様に、意見交換会の録音データなどから山根市議が「恫喝」に当たる発言をしたことは認められないと判断。そのうえで、石丸氏が市議会の全員協議会で、山根市議が「恫喝」発言をしたという確定的な認識もないまま市議を名指ししたことは、市長の裁量を逸脱しているとして違法だと認定した。
広島市内で会見した山根市議は「市は求償権を使い、石丸氏に賠償額を請求するよう求める」と述べた。
安芸高田市は「判決文の内容を精査し、今後の対応を検討する」とコメント。6月9日付で市長を辞職した石丸氏は7月3日、東京都内で報道陣の取材に応じ、「上告する手続きを進めている」などと話した。石丸氏の辞職に伴う市長選は7月7日に投開票され、新市長が決まる。(柳川迅)
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