約700頭の猿を飼育する日本モンキーセンター(愛知県犬山市)は20日から、園内で取れたみかんを使ったオリジナルの日本酒を発売する。みかんはゴリラのふんから芽を出して木になったもので「奇跡のみかん」と呼ばれ、縁起物として定着している。担当者は「『奇跡的なおいしさ』と思ってもらえるとうれしい」とPRする。
センターは江戸時代から続く酒蔵「澤田酒造」(同県常滑市)とコラボし、2021年からオリジナル日本酒を作ってきた。今回で第8弾。「奇跡のみかん」を原料に使い、前回までよりもセンターの独自性を強く出した。
「奇跡のみかん」の木はニシゴリラのおりの付近にある。毎年末に数百個の実を収穫して、年始の来場客に縁起物として配られるセンターの「名物」だ。
「奇跡」のゆえんは、木が育った経緯にある。
2000年代初頭に飼われていたメスのゴリラ「ハナコ」はきれい好きで、外にふんを投げ捨て、おりを清潔に保つ癖があった。
すると、そのふんに混じったみかんの種から奇跡的に芽が出て、実をつけるようになった。
センターは「奇跡のみかん」がなる確率は約200万分の1と試算。1個あたり平均18粒の種があるみかんを毎日10個ずつ約30年間与えていたため、その数を掛けてはじき出した。
さっぱりした味わい ソーダ割もオススメ
酒造りには、昨年末に収穫した約150個を使った。センターの職員も、果汁をしぼるなどの作業を手伝った。
完成した酒の名前は、日本最高齢のニシゴリラの名前を冠した「タロウさんとこのみかんのおさけ」。ラベルは、タロウのシルエットを複数あしらったかわいいデザインだ。
製造した澤田酒造の澤田英敏副社長(48)は「みかんの味をいかした、さっぱりした味わいに仕上がった」。炭酸で割る飲み方もオススメだという。
1本500ミリリットルで2800円。センター内の売店で購入できる。問い合わせは同センター(0568・61・2327)。(井上昇)
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