能登半島地震で倒壊した石川県輪島市河井町の漆器製造老舗「五島屋」の7階建てビルについて、「杭(くい)基礎」で支えられた建物が地震で倒壊した国内で初めての事例となった可能性が高いことが、東京工業大の田村修次教授(地盤工学)らの調査で分かった。

地震で倒壊した7階建てビル=石川県輪島市で

 6月25日にオンラインで開かれた日本建築学会北陸支部の能登半島地震災害調査暫定報告会で示された。  杭基礎とは、ビルなどの基礎工事で多用され、コンクリート製などの杭を地面下に打ち込み建物を固定する工法。軟弱な地盤でも、地中の硬い層まで杭を到達させることで建物をしっかり支える効果があるとされる。

◆基礎部分から折れるように

 7階建てビルは、大規模火災で焼失した輪島朝市通りから200メートルほど南の市中心部に位置。ビル上部はほぼ原形をとどめるが、4階付近から下は地面にめり込むように横倒しになり、隣の飲食店が下敷きになり2人が亡くなった。ビルは基礎部分から折れるように倒れ、地面と接する部分が地表であらわになっているが、目視で杭は確認できない。  元日の強い揺れで倒壊したとされるが、報告会で田村教授は、津波や地滑りの被害を除くと、杭基礎で固定された建物が倒壊したのは日本で初めての事例になる可能性が高いことを説明した。ただ、杭基礎部分がどういう経緯で破損したか詳しい原因は不明で、今後も調査を続ける。(室木泰彦)


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