都内のベンチャー企業が手がけるサービスは、専用のICカードを使って、従業員の食費を補助するものです。

国の基本通達で所得税が非課税扱いとなる枠組みを利用し、従業員は、提携先の飲食店やコンビニを利用する際に所得税がかからない形で、最大、税抜き月3500円分の補助を受けることができます。

物価の上昇が続く中、人材の確保などに向けて利用する企業が増えていて、ことし1月から3月までの3か月間で、新たにサービスを導入した企業の数は、去年の同じ時期の2倍以上に増えたということです。

「エデンレッドジャパン」の天野総太郎社長は「従業員の手取り額の増加に貢献したいと、賃上げの代替案や強化策として検討する企業が増えている」と話しています。

また、家事代行サービスを提供する都内の企業では、人手不足に対応するための国の実証事業に5月に採択されたこともあって、新たに契約を結ぶ企業の数が例年より伸びているということです。

契約した企業の間では、サービスを利用する従業員の負担を抑えるため、補助の割合を高める傾向もみられるということです。

「ベアーズ」の服部祥子広報室長は「従業員の働き方だけでなく、暮らし方を支援することが大きな意味を持っていると考える企業が多いように感じる」と話しています。

中小企業の間では、人材の確保や定着に向けて賃上げを行う動きも広がってきていますが、賃上げに近い効果を見込んで、福利厚生を充実させようという企業のニーズを捉えたサービスが広がりをみせています。

福利厚生に家事代行サービス補助 導入企業は

家事代行のサービスを福利厚生の一環として導入し、従業員の働きやすさや定着率を高めようという企業もあります。

化粧品の生産や販売を手がける都内の中小企業は、従業員およそ100人の8割ほどが女性で、出産の前後や子育て中でも働きやすい環境づくりを進めようと、子どもを預けられない場合に会社に連れていける制度や、子どもの体調が悪いときのシッター費用の全額補助など、福利厚生の施策を充実させてきました。そして、使いたいという声が多かった家事代行サービスの補助も、5月に新たに取り入れました。

国の補助を活用する形で、年内は会社の負担がないということです。

実際にサービスを利用した子育て中の40代の社員は「会社が導入してくれたことで気持ち的にも使いやすいし、お金の負担を軽減してもらえることもすごく大きいと思う」と話していました。

この会社では、ことしの賃上げは定期昇給のみで、基本給を引き上げるベースアップは行っていませんが、福利厚生を充実させることで従業員の定着率を高めたいとしています。

「ランクアップ」人事部の瀧澤朋美課長は「子育てと仕事を両立する社員を含め、活躍したい人が活躍し続けられる会社になるよう取り組んでいきたい」と話していました。

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