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 狙われたのは人気SUV車。去年、2番目に盗難が多い車種です。4台の防犯カメラが犯行の一部始終を捉えていました。専門家は、新手口「スペアキーを作る“ゲームボーイ”」の可能性を指摘。さらに、急増するバイク窃盗。狙われたのは昭和の旧車。被害者が100万円の懸賞金をかけ執念の捜索。見えてきた犯人像とは?

■就寝中に…「やられた」

 午前2時すぎ、人気のない住宅街にフードをかぶった不審な2人組が現れます。さらに、周囲を見渡せる場所にもう1人。見張り役でしょうか?すると、突如画面が真っ暗に。一体、何が?  別の防犯カメラが捉えていたのは、不審者がカメラのレンズを何かで覆う様子。彼らは、自動車の窃盗グループです。 自動車盗難の被害者
「私は、すぐそこで寝ていたんですけど、まったく感じなくて…」  盗まれたのは、2年ほど前におよそ900万円で購入した人気SUV車(スポーツ用多目的車)。近年、盗難件数が多い車種です。

 実は被害者は、防犯対策として複数の防犯カメラを設置。犯行の一部始終を捉えていました。そこから見えてきたのは、悪質で計画的な窃盗グループの実態でした。

自動車盗難の被害者
「ここに防犯カメラ(のモニター)があるんですけど、ここの画面が真っ白になっていて」

 被害者が防犯カメラの異変に気が付いたのは、午前6時半ごろでした。

自動車盗難の被害者
「カメラに不具合があって映らないのかなと思って、ちょっと一応確認しようかなと思って玄関に行きました」

 ところが、玄関の扉を開けようとして事態の深刻さを知ります。

自動車盗難の被害者
「玄関開けようとした時にそこにあるこの2つの植木鉢がすぐ外に置いてあって、開けられない状況になっていたんです。これぐらいしか。これちょっと、ただ事じゃないなと思って」

 ドアの前に置かれた植木鉢。発覚した際、逃走する時間稼ぎのために細工したのでしょうか。そこで、テラスから駐車場を見てみると…。

自動車盗難の被害者
「いや〜、やられたと思いましたね。もう(車が)ないのを確認して、すぐ警察の方に連絡しました」

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■1時間弱の犯行か? 発信機を追うと

■1時間弱の犯行か? 発信機を追うと

 盗まれた車が置かれていたのは玄関前の駐車場でした。一体、どのようにして盗まれたのか?被害者は、取り付けてあった6台の防犯カメラの映像を確認。すると、そのうちの1台に「(午前)2時半ぐらいに男の人が3人歩いてきて、車を確認している様子とかがあって」と被害者は話します。

 午前2時23分。窃盗犯が南側の道路から現れます。左下の黒い車が盗まれた車です。すると、突然、真っ暗に!

自動車盗難の被害者
「あの防犯カメラが(粘着)テープで目隠しされた防犯カメラですね。ここの室外機に足をかけてのぼって、こう貼ったという」  犯行の様子を隠すためなのか、防犯カメラを覆う犯人が映っていました。それからおよそ30分後、北側の路地を映した防犯カメラには、周囲を気にしながら戻ってくる窃盗グループの姿がありました。1人はかばんを抱えています。

 窃盗グループがカメラから消えた直後、逃げるようにいったんその場を離れます。一体、何が?

 3人が走り去った直後、テラスの防犯カメラには自転車に乗った人の姿が映っていました。それでも諦めません。午前3時すぎに再び現れます。そして、10分ほどが経過。 自動車盗難の被害者
「車のエンジンがかかってすぐ出て行くという。なので、1時間弱ぐらいの犯行だと思うんですけど」  愛車は一体どこへ向かったのか?実は、盗まれた車には、防犯対策として発信機を付けていました。最後の発信地は、直線距離にして西に2.6キロの地点。被害者の男性は現場に行きますが、何の痕跡も残されていませんでした。

 しかし…。

自動車盗難の被害者
「西側の方に行って、ゴルフ場の防犯カメラに映ってたんじゃないかっていう話は(知人から)聞きました。刑事さんの話だと、千葉方面に行っているんじゃないかということは言っていた」

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■猛威を振るう“CANインベーダー”

■猛威を振るう“CANインベーダー”

 盗まれた車は、2023年の盗難被害で2番目に多い車種。その理由について、専門家はこのように話します。

自動車生活ジャーナリスト
加藤久美子氏
「悪路走破性が高く、オフロード車の性能が高い。昔からすごく盗まれている」

 なぜ窃盗犯はカメラを覆ったのか。手口を隠した理由について専門家はこう指摘します。

加藤氏
「いま猛威を振るっているCANインベーダーという方法がある」  CANインベーダーは、車の制御をつかさどる通信システムを乗っ取る手口。盗難被害が多い車には、この方法が多く使われているといいます。2024年5月から、警察はCANインベーダーを使用した窃盗グループの指示役とみられる男を逮捕するなど対策を強化しているのですが、またもや、新手の窃盗が出現していると専門家は警鐘を鳴らします。 加藤氏
「一番、いま話題なのが“ゲームボーイ”というスペアキーと同じ機能を持つ小さな機械。車から(キーに)出ている信号をキャッチしてスペアキーを作ってしまう」

 価格は、1台あたり170万円から510万円ほど。犯罪に悪用されている可能性も指摘されています。しかし、加藤さんによると、ゲームボーイに対応するセキュリティーもあるということです。では、盗まれた高級車はどこに行くのか?

加藤氏
「中東とか、UAEを経由してロシアに行くとか。ロシアが私は非常に需要があると思っています」

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■人気、昭和の旧車バイクが…

■人気、昭和の旧車バイクが…

 そして近年、深刻な状態にあるのが急増するバイクの窃盗です。大阪市内の防犯カメラ映像。フードとマスクをした人物が窃盗犯です。バイクを動かしたその時…。

 深夜にもかかわらず、まるで見ていたように2階にいたバイクの持ち主が「お い!」と声を掛けます。その理由は…。 窃盗犯にバイクを狙われた男性
「この防犯カメラは人感センサー付きで、スマホに通知が来るようになっている。おかしいなと思ってスマホの(画像)で確認してみたら、まさに犯人が盗もうとしているところでした」  リアルタイムで送られてくる動画のおかげで無事バイクを守ることができました。去年のバイクの盗難件数は、およそ1万件。前年比25%以上も増えています。

 今年3月には人気の名車が盗まれ、その後オーナーが懸賞金100万円をかけて話題になりました。

 神奈川県伊勢原市の住宅街。被害者がバイクを置いていたのは、実家の倉庫の中でした。

バイクを盗まれた
ゆはらたつやさん
「バイクはここにちょうどありまして、前向きに駐車してありましたね」  盗まれたのは、3年前におよそ120万円で購入した1974年式のバイク。昭和生まれの旧車で、現在300万円以上で売られていることもある人気の車種です。ゆはらさんは日ごろからバイクの整備に勤しんでいました。

 しかし、3月の中旬…。

ゆはらさん
「家族が『バイクないぞ』って連絡してくれて。いや〜、もう、ショックというか。まず、嘘だろって思ったんですよ。ショック過ぎて、言葉が出なかったですね」

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■バイクの保管場所、発信機も熟知か?

■バイクの保管場所、発信機も熟知か?

 警察に通報し、SNSで情報提供を呼び掛けましたが、有力な情報が得られないままおよそ3週間が経過。そこで、ゆはらさんは決意します。

ゆはらさん
「もう、家族が誘拐されたと本当同じぐらいですね。100万円で見つかるんだったら全然、自分苦じゃないし。また同じ自分が愛したバイクが戻ってくるのだったら、もう全然構わないです」

 愛車に懸賞金100万円をかけることにしたのです。その一方で、ゆはらさん自らも愛車の捜索を続けます。

ゆはらさん
「家の周りのどこに防犯カメラがあるかとか確認して」  倉庫を出て西側の道路には防犯カメラが複数設置されていましたが、バイクを運ぶ様子は一切映っていませんでした。そのことから、犯人は防犯カメラのない東側の道路を通ったと考えられます。 ゆはらさん
「倉庫、こっちなんですけど、道からは絶対に見えないので」

 さらに、道路と敷地の間には高い生け垣があり、倉庫の手前に大きな木が植えられているため、外から見ることはできません。

 また、バイクには発信機を取り付けていたのですが…。

ゆはらさん
「家から離れると通知が来るはずなのに来なかった」  これは、発信機から最後に送られてきた通知。倉庫の周辺を示していました。犯人は、発信機の存在を知っていて運び出す際に破壊した可能性があるのです。バイクの保管場所やセキュリティーについて熟知していた人物なのでしょうか?

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■ネットオークションや海外に…

■ネットオークションや海外に…

 元千葉県警で、自動車などの解体施設、ヤードの対策を担当していた森雅人氏は、近年バイク窃盗の目的が自分が乗るためではなく、転売することに変わってきていると指摘します。

日本刑事技術協会 上席コンサルタント
森雅人氏
「最近目立つのが、いわゆる旧車と呼ばれる古い日本製のバイクが狙われる傾向にある。バイクは、すごく細かい部品にできるので盗品である裏付けが取れない。解体して部品として転売するパターンが多くなっている」  旧車のパーツは、製造が終了したものが多いため一定の需要があります。さらに、解体して海外に持ち出し、再び組み立てて販売するケースもあるといいます。 森氏
「ネットオークションとかもはやっているので、海外ももちろんあるんですけど、国内で流通している盗難バイクの部品というのも結構あるんじゃないかと思っています」 この記事の写真を見る
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