1980年の東京・田園調布の男性資産家に対する殺人罪などが確定し、懲役20年の刑に服した折山敏夫さん(80)の第3次再審請求審を巡り、市民有志が新証拠の提出に向けた試みを始めようとしている。弁護側はこの事件で、被害者と認定された遺体を「別人」と主張。市民有志は裏付けのため、「スーパーインポーズ法」での鑑定を専門家に依頼する。

◆遺体は被害者と別人ではないか

 この手法では、被害者の顔と遺体の頭蓋骨の写真を重ね合わせ、両者の輪郭や部位の位置関係などを分析することで、同一人物か、別の人物か判断する。身元不明遺体の照合などに警察が活用するケースが多い。有志による「折山敏夫さんの再審を支援する会」はクラウドファンディング(CF)で費用を募っている。

裁判のやり直しを訴えている折山敏夫さん=東京都内で

 確定判決によると、折山さんは80年7月、福岡市内のホテルで不動産会社を営むSさんを殺害したとされる。別の不動産会社を営んでいた折山さんは事業の相談に乗り、スナックの経営を任されていた。  逮捕は85年7月。遺体の場所を捜査官に示した供述、遺体とSさんの歯型や歯の治療状況の一致などが有罪の根拠となった。

◆逮捕前に発見されていた遺体

 これに対し、遺体が逮捕前の80年8月に福岡県警に発見されていたことなどから、折山さん側は「身元不明遺体の存在を前提に虚偽の自白を誘導した」と主張。通常審で検察側が証拠提出したSさんの歯のエックス線が「本人のものか疑わしい」とも訴えてきた。  弁護団によると、Sさんの顔写真と、Sさんと認定された遺体の頭蓋骨の写真が残る。支援の会はスーパーインポーズ法による鑑定に際し、これらを用いる。同会の板橋敬さん(56)は「目や鼻の位置が特定でき、掘り出された遺体がSさんか、似ていないのかが明白になる」と話す。  CFはスーパーインポーズのほか、ホテルでの殺害と遺体の搬出が可能だったかを検証する実験、他の専門家からの意見聴取などの費用も含め、5月16日までに200万円を募る。受け付けはCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で。(西田直晃) 

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