名刺管理サービスに情報を保管していた他社のアカウントに不正にアクセスしたとして、不正アクセス禁止法違反の罪に問われた不動産会社元社員の片岡和真被告(37)の論告求刑公判が14日、東京地裁であった。検察側は懲役1年を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は24日に言い渡される。
検察側は論告で、片岡被告が部下に対し、名刺管理サービス「Sansan」運営会社の社員になりすまして他社からIDやパスワードを聞き取るよう指示していたと強調。不正に取得した名刺データを営業用の連絡先リストとして利用し、自身が率いるグループの実績を上げようと考えていたとして「身勝手な動機であることから酌むべき事情はない」と指弾した。
弁護側は最終弁論で、身分を偽って他社の従業員に電話をかけ連絡先などを聞き出す「偽電(ぎでん)」と呼ばれる手法が、被告の入社当初から社内で横行していたことなどから「被告が犯行を主導したわけではない」と反論した。
起訴状などによると、投資用マンション販売の営業を行う会社の幹部社員だった被告は2022年11月〜23年3月、Sansanを利用していた複数の他社従業員に対し、部下を通じてIDやパスワードを要求。不正にログインして他社が管理する名刺情報を閲覧できるようにしていた。
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