11日は、各地で真夏を先取りしたような一日となりました。梅雨に向け、熱中症とともに“食中毒”への警戒も必要となります。
■各地で気温上昇 暑さ対策必須
強烈な雨で白やんだ那覇市内。梅雨本番の沖縄県では非常に激しい雨が降り、一時的に土砂災害警戒情報も出されました。
うってかわって、関東甲信は梅雨入りを前にさながら夏本番の気温となりました。
甲府在住のインドネシア人
「きょう東京から帰ってきた。出張があって。暑いね、やっぱり甲府は」
名古屋市は今年最高となる31.5度を観測しました。
女性
「きょう水を持ってきた。それと塩あめね。塩あめ持ってきました」
「(日傘があると)違う。帽子かぶってないから」
京都では、真夏によく見かけたグッズを使う人も。
女性
「これ冷やして使うネッククーラー。全然違う。全然違う。朝晩が昔は涼しかったのが(今は)朝晩が暑いから疲れがとれず、余計しんどい」
東京都心も朝からグングン気温は上昇。午前8時半ごろに25度を超え、今年最も早い時間に夏日となりました。
上空1500メートルに流れ込んだ暖気の影響で、季節外れの暑さとなった日本列島。真夏日は172地点で、今年最多を更新しました。この暑さは週の後半まで続きそうです。
11日午後9時現在、東京都内では7人が熱中症の疑いで搬送されました。
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■高温多湿の梅雨 食中毒に警戒■高温多湿の梅雨 食中毒に警戒
高温多湿となれば、この時期注意すべきが食中毒です。厚労省も、食中毒については年間を通じて注意を呼び掛けていますが、食中毒の発生件数を見てみると、5〜6月は真夏の7〜8月に比べて多くなっていて、細菌に限って言えば、去年6月は一年で一番多く発生しています。
お昼時の丸の内でスープ類を提供するキッチンカーに話を聞きました。
ぽた〜じゅ屋 大嶋敦志代表
「(Q.この炊飯器は)炒めたお肉を収納しています。70〜80度くらいの温度を保つので食中毒が出づらくなるのと、そのぐらいの温度でキープしておくと肉が軟らかくなって食べやすくなる」
そして、傷みやすい食材を使う場合は、そもそも売り切ることが鉄則だといいます。
ぽた〜じゅ屋 大嶋敦志代表
「熱にも耐えちゃうウエルシュ菌がいるので。そういうのは、うまくつかないようにする。(イモなどの)皮目がおいしいカレーは皮目を残したいので、作る量を減らして全部売り切る。そうやって食中毒を防ぐ」
ただ、食材は守れても、作り手の暑さ対策は扇風機を回すことくらいだといいます。
ぽた〜じゅ屋 大嶋敦志代表
「今、この車内が8月中旬くらいの気温。8月になるとゴビ砂漠ぐらいの気温になると思うので。去年はとてもつらかったから、今年はできるかなって」
持参したお弁当を食べている人からは…。
手作り弁当を持参した人
「食べ物も傷みやすいので、ちょっと怖いなと思いつつ」
「わさびシートみたいなシートを入れたり、保冷のため凍らせたゼリーとか野菜とか入れておくように」
愛媛県松山市のビジネスホテルでは、ノロウイルスによる食中毒が発生。宿泊客ら51人が発熱や下痢などを訴え、保健所が11日までの5日間、レストランを営業停止にしました。
島根県出雲市の飲食店でも、60〜80代までの14人が、食中毒による嘔吐などを訴えていたことが分かっています。発生原因はまだ分かっていません。
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■“擬人化”動画で注意喚起■“擬人化”動画で注意喚起
細菌の繁殖などによる食中毒を防ぐため、静岡県の下田市で繁忙期を前に行われているのが、食品衛生管理の“一斉監視指導”。手洗いや食材の保管場所など細かいチェックを行います。
賀茂健康福祉センター 中山貴寛さん
「夏に向けて気温が上昇していますので、特に食品の温度管理を徹底していただきたい」
東京都が公開している動画。食中毒の原因となる細菌やウイルスを擬人化させ“会議させる”ことで、それぞれの特徴や弱点、対策までを学ぼうというものです。
東京都の食品衛生普及映像
「名付けて、食中毒サミット!」
「以前より人類は食中毒予防の3原則として『つけない、ふやさない、やっつける』をスローガンに掲げてきた」
ウェルシュ菌
「私なら100度の熱に耐えられますが」
黄色ブドウ球菌
「私たちの場合、熱で自分は死んでしまいますが、熱に強い毒素を作り出すことができます。私たちは人間の手指などに生息しています。そこに手荒れや傷口などがあれば、なおさら結構。その状態で食品に触れてくれれば、簡単にくっつくことができます」
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■BBQシーズン 基本は“自己防衛”■BBQシーズン 基本は“自己防衛”
飲食店などが細心の注意をはらう一方で、この時期にぎわうBBQ会場では…。
お客さん
「(以前に)半生のカキを食べてあたったと思います。(Q.どんなことに気をつけたい)マジで焦げるくらいにしっかり火を通して食べたいです」
「(Q.トングは野菜では使わない)使わないです。生肉を触っているので」
施設側も張り紙などで注意喚起しますが、自己防衛が基本です。
THE BBQ BEACH in TOYOSU 吉村裕次副店長
「対策をしていても(食中毒が)起きてしまうのは事実なので。こちらとしては、お肉をちゃんと焼いてくださいと言っているので、自己責任になってしまう。(食中毒が)ないことを祈りたい」
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■家庭に潜む食中毒リスク■家庭に潜む食中毒リスク
6月に食中毒の発生が多い理由について、食中毒に詳しい名古屋文理大学短期大学部・佐藤生一名誉教授に聞きました。
佐藤生一名誉教授
「湿度・気温が上がると、細菌が増殖しやすい。湿度60〜80%ぐらいから増殖していく。本格的に暑くなる前で、油断しやすい」
家庭ではどんなことに気を付ければいいのでしょうか。
食中毒は、サルモネラや黄色ブドウ球菌など様々な細菌などが原因となって起こります。農水省によると、細菌が増える主な条件は3つあります。
(1)水分
(2)栄養
(3)温度
佐藤名誉教授によると、お弁当ではおにぎり・サラダなどに細菌が増殖しやすいといいます。
【おにぎり】
握る際、手に黄色ブドウ球菌などが付いている恐れがある。手袋やラップなどを使って握るのがおすすめ。
塩分濃度の高い梅干しは、細菌などの発生を抑え、殺菌効果が期待される。ほぐして、おにぎり全体に入れるとさらに良い。
【サラダ】
水分が多いので細菌が増殖しやすい。しっかり水気を切って、ドレッシングは別にする。
ミニトマトはヘタに細かい凸凹があり、細菌が付きやすい。ヘタは取って入れた方が良い。
唐揚げや卵焼きは、中までしっかり火を通せば細菌の増殖をある程度抑えられる。
佐藤生一名誉教授
「黄色ブドウ球菌は30〜37度で増殖しやすい。食材が温かいまま弁当箱に詰めると細菌が増えやすいので、冷ましてから詰める。その後も細菌が増殖しないよう、保冷剤で冷やすことが大事」
そして、やりがちなのが飲みかけのペットボトルを常温で放置してしまうことです。
佐藤生一名誉教授
「直接、口を付けて飲んだペットボトルの中には、口の中の細菌が容器に入り込む。特に糖分や乳酸菌などが細菌の“栄養”になってしまうため、増殖の原因に。室温以上の場所に長時間放置するのはNG。直接口をつけるのではなく、コップに注いで飲んだり、できるだけ早めに飲み切る」
食中毒を防ぐために、佐藤名誉教授は「菌を“付けない”“増やさない”“やっつける”」ことがポイントだと話していました。
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