鹿児島県警の前生活安全部長・本田尚志容疑者が内部文書を漏洩したとして逮捕された事件で、文書を受け取った記者が取材に応じました。

一方、県議会では「犯罪を隠ぺいしようとした」と名指しされた鹿児島県警・野川明輝本部長が出席し、集中審議が行われました。

問題となっている警察官の不祥事は2つ。1つは盗撮に関してです。本田容疑者は「野川本部長が『最後のチャンスをやろう』『泳がせよう』と言って、本部長指揮の印鑑を押さなかった」としています。

鹿児島県警・野川明輝本部長:「枕崎署員にかかる盗撮事件につきましては、昨年の12月19日の事案認知後、直ちに管轄する警察署におきまして捜査を開始し、最終的に5月13日に被疑者を逮捕し、6月3日起訴されているところです。前生活安全部長からは、『本部長事件指揮簿に迷いなく、印鑑押し本部長に指揮伺いをした』と述べておりますけれども、本部長事件指揮簿が作成され、前生活安全部長に伺いがなされたとの事実は確認されておりません。また、事件認知時に前生活安全部長が私のところに来た事実もありません」

本田容疑者が定年退職した後ではありますが、盗撮の警察官は、逮捕・起訴されていると説明しました。

もう1つは、別の警察官が巡回連絡簿を悪用し、ストーカー事案を引き起こしたにもかかわらず、公表されなかったというものです。

鹿児島県警・野川明輝本部長:「霧島署員にかかるストーカー規制法違反事件について、本年2月、被害者の気持ちも踏まえ、捜査を終結するとともに、関係職員に対する処分も行った。このように2つの事案については、いずれも県警察において、必要な対応が取られていて、私が隠ぺいを意図して指示を行ったことは一切ございません」

今回の集中審議を取り仕切った委員長は、終了後、このように話しています。

県議会総務警察委員会・西村協委員長:「本部長が言うのも事実だろうし、前生活安全部長の話も事実だろうし、事実が1つというわけでもない。いろんな事実があるだろうと感じている」

警察の不祥事を扱ってきたライターの小笠原淳さん。本田容疑者が内部文書を送っていた人物です。小笠原さんと本田容疑者に面識はありません。

小笠原淳氏:「4月3日に封書を受け取って、差出人の名前が書いていないのと料金不足、だから印象深く覚えている。84円で届かないぐらいの重さのボリュームだった。(封書を)開けると、1枚目に『闇をあばいてください』とあって、2枚目以下に具体的な、おそらく未発表であろう不祥事の概要をまとめた文章と、警察の内部文書であろう資料があった」

今回の事態が発覚するまで、小笠原さんが資料をもとに記事を書くことはありませんでした。ただ、鹿児島県警から電話がかかってきたそうです。

小笠原淳氏:「『うちの元部長の事件の重要な証拠が小笠原さんに送られていることがわかりましたので返還願いたい』と。返還という言い方をしたので聞き返したら、『証拠品として押収させていただきたい』と」

国家公務員法違反で逮捕された本田容疑者は、10日、今の気持ちをこのようなコメントしています。
本田尚志容疑者のコメント:「私は、生活安全部長という立場にありながら、野川本部長に対して、直接、進言をすることができませんでした。自分の家族や将来のことも考え、実名で公表することもできませんでした」

行ったことは内部告発だったのか、それとも情報漏洩だったのでしょうか。

小笠原淳氏:「公益通報なわけだから、公益通報者として守られるべき。各地の公務員に限らず、一般企業もそうですけど、公益通報を考えている人が萎縮してしまって、ものが言えなくなりますよね」

一方、鹿児島県警の見解ですが、「現在捜査中の事件」としたうえで、こう述べました。

鹿児島県警・牛垣誠首席監察官:「本件について、内部公益通報かという点ですが、現時点においては答弁を差し控える。(Q.今の段階では判断していないのか)その通りでございます」

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