給与明細に「定額減税総額」 実感は?
長いスパンでケアしてもらえるとありがたい
今月だけでも大変なのに…
そもそも定額減税とは?
自治体に問い合わせ窓口も
注目
「定額減税の還付」詐欺電話が相次ぐ
GDP 2期ぶりマイナス 消費上向かせられるか
食品メーカーの「ブルドックソース」は10日がボーナスの支給日で、妻と22歳の大学生を扶養する総務人事部の犬塚太郎さんは、所得税から3人分の9万円が減税されることが記された明細を確認していました。
食品メーカー「ブルドックソース」犬塚太郎さん「実際に引かれた金額を見ると結構大きい額だなと思い、実感がわきました。使いみちについては高価な外食か旅行のどちらに充てるか考えましたが、娘の留学に合わせて夫婦でニュージーランドに行く際の資金にあてたいと思います」
また、経営企画室の尾田佑樹さん(34)は夫婦共働きで、4歳と0歳の子ども2人が尾田さんの扶養に入っていて、所得税から3人分の9万円が減税された明細を確認していました。
尾田佑樹さん「税金の欄を見れば確かに減税だと分かりますが、直接お金が振り込まれる給付と違って分かりにくく手取り全体が増えたという気分にはなりにくいです。子どもの誕生日が近いので、プレゼントに使いたいと思います。あとは、物価高で生活にお金がかかる状況なので生活費の足しにしたいです」
水戸市に本店がある常陽銀行も、10日がボーナスの支給日です。このうち人事部の村上克哉さん(36)は早速、ボーナスの支給明細書を確認していました。村上さんは妻と小学4年、小学2年の子ども2人の4人家族で、妻と子どもを扶養しているため所得税の減税額は12万円になります。
明細書には、もともとは20万円余りだった所得税から12万円が減税されたことが明記されていました。村上さんの場合、これで所得税の減税額すべてが差し引かれたことになります。村上さんは減税分のお金を子どもの欲しいものを購入するための費用や、実家に帰省する際の外食費などに充てたいとしています。
常陽銀行 村上克哉さん「率直に手取り額が増えたのは非常にうれしいと感じている。せっかく減税分、手取りが増えたので、自分たちの楽しみに使いたい。一方で、生活にかかるさまざまなコストが増えてきていると思うので、そこをもう少し長いスパンでケアしてもらえると消費者としてはありがたい」
一方で、今月下旬に給与の支払いを行う企業からは定額減税への対応に不安の声も。
兵庫県淡路市で息を吹き込むと伸びたり縮んだりする紙のおもちゃ「吹き戻し」を作っている会社では、定額減税の対象となる従業員が14人いて、給与の計算や明細の作成を主に社長が一人で担当しています。この会社は今月25日に支給する給与から所得税の減税を反映させる予定で、扶養家族の人数を改めて確認するなど、準備を進めてきました。
従業員の中には時間給で働く人も多く、実際の給与額が確定するのは今月20日以降になるため、支給日までの5日間で減税額の計算などを行う必要があり、対応に不安を抱えているということです。また、国によって義務づけられた給与明細への減税額の記載については、現在の書式には追加できる場所がないことなら、別の紙に記載して手渡す予定だということです。
村田晋二 社長「減税額を記載して渡さなければいけないのが大変です。繁忙期などにより給与は毎月変動しますし、今月だけでも大変なのに今後も計算や確認が続くと思うと、負担が大きいです」
今回の定額減税では、1人あたり年間で所得税が3万円、住民税が1万円減税されます。納税者本人だけでなく扶養している子どもや年収103万円以下の親族らも減税の対象となります。例えば、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、世帯全体では所得税が12万円、住民税が4万円のあわせて16万円が減税されます。
一方で、減税の時期や方法は、所得税と住民税で異なるほか、会社員か個人事業主かといった働き方によっても違います。詳しい内容は下記の記事で解説しています。
福井市では給付の対象者には、来月中旬から、支給通知書などが送付される予定で、マイナンバーにひもづく口座が設定されている場合は、この口座に振り込まれるということです。
福井市納税課債権管理室 高島寿守室長「市民の皆様にとってわかりづらい制度だと思うので、基本的な問い合わせにも対応していきたい」
「定額減税の還付が受けられる」などと切り出して金をだまし取る詐欺の電話が全国で相次いでいます。警察や自治体はSNSを使って注意を呼びかける投稿を行っています。夏のボーナスは、多くの企業では6月から7月にかけて支給されます。こうしたボーナスの時期に合わせて、東京・渋谷区の公式SNSから10日、定額減税の還付金をかたる不審な電話が確認されたとして、注意を促す投稿がありました。
渋谷区によりますと、今月3日、区内に住む高齢夫婦の自宅に渋谷区の職員を名乗る人物から「減税に伴って還付金が受け取れます。申請のはがきを自宅に送ったはずですがまだ申請がない人に連絡をしています」と電話があったということです。そしてその人物は「銀行で手続きが必要なので銀行に行く時間を教えてもらえますか?その時間にこちらから電話します」と続けたということです。夫婦は詐欺の電話かもしれないと疑い、その場で電話を切ってすぐに区に連絡をしたことで被害はなかったということです。こうした定額減税をかたった詐欺の電話は全国で相次ぎ、実際に被害も確認されています。このうち島根県では松江市内に住む60代の女性がおよそ300万円を、福岡県では、北九州市に住む61歳の女性がおよそ100万円をそれぞれだまし取られました。SNSで注意を促した渋谷区税務課は「多くの人が定額減税を目にするきょうに合わせて投稿しました。たとえ還付金が返ってくるとしても、銀行での手続きを促したり、電話やメールで口座番号を聞くことは絶対にありません」と話していました。不審な電話がかかってきたらいったん電話を切って家族など周囲の人に伝え、「#9110」の警察相談専用電話や、近くの警察署に相談してください。
物価の上昇が続く中、賃上げや定額減税などによって消費を上向かせることはできるのでしょうか。内閣府が発表したことし1月から3月までのGDPの改定値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が前の3か月と比べてマイナス0.5%でした。これが1年間続いた場合の年率に換算するとマイナス1.8%となり、先月16日に発表された速報値から0.2ポイント上方修正されました。GDPの伸び率がマイナスとなるのは2期ぶりとなります。企業の「設備投資」は今月3日に発表された最新の統計を反映した結果、前の3か月からの伸び率が速報値のマイナス0.8%からマイナス0.4%に引き上げられました。一方、GDPの半分以上を占める「個人消費」の伸び率はマイナス0.7%と速報値と同じ水準となりました。また、モノやサービスの輸出はマイナス5.1%と速報値から0.1ポイント引き下げられる一方、輸入はマイナス3.3%と0.1ポイント引き上げられました。林官房長官は、10日午後の記者会見で「現時点では、賃金上昇が物価上昇に追いついていないが、33年ぶりの高水準となった春闘の賃上げや、今月から実施される定額減税の効果が見込まれるなど、雇用・所得環境が改善する中で個人消費は持ち直しに向かうことが期待される」と指摘しました。そのうえで「政府としては、力強い賃上げの動きを中小企業や地方にまで広げ、それが定着できるよう総合的な取り組みを進め、消費を下支えしていく」と述べました。
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