長崎市の鈴木史朗市長は3日の記者会見で、被爆79年となる8月9日の平和祈念式典にイスラエル代表を招くかについて、「日々刻々と情勢が変化し推移を見極める必要がある。招請状の発送は保留したい」と述べた。イスラエル側に、「即時停戦」を求め、現時点での招待を「保留」することなどを記した書簡を送るという。

 長崎市は例年、5月末から6月初旬にすべての在日大使館に招待状を発送している。ただ、ウクライナ侵攻が始まった2022年から、ロシアとベラルーシの招待を見送っている。

 鈴木市長は会見で、イスラエルの招待を保留したことについて、「ガザ地区の危機的な人道状況や国際世論に鑑みれば、式典において不測の事態が発生するリスクが懸念される」と述べた。「招請に特段支障がないと判断されれば、招請状を発出する」とも語ったが、具体的な条件や期限には言及しなかった。

 広島市は8月6日の平和記念式典について、ロシアとベラルーシを招待しない一方で、イスラエルに対しては5月末、「一刻も早い停戦」を求める文言を記した上で招待状を送っている。

 紛争当事国への対応が分かれたことに、広島市には「ガザ地区での虐殺を広島市が肯定することになる」などの声が寄せられる一方、被爆者団体から「紛争の有無にかかわらず、すべての国を招待すべきだ」などと記した要請文が出されていた。(小川崇、副島英樹)

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