「5面指し」の指導対局で真田圭一八段(右)に挑む子どもたち=2024年5月26日午前10時26分、北海道紋別市、神村正史撮影

 藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=に豊島将之九段(34)が挑戦している第82期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局が26日、北海道紋別市の「ホテルオホーツクパレス」で始まった。同じホテルでは、プロが将来の棋士をめざす子どもたちに胸を貸す指導対局も行われた。

名人戦と同じ建物で同じ時間に

 指導したのは真田圭一八段と田中悠一六段、竹部さゆり女流四段。北海道内の小学1年から高校2年の15人が挑み、プロ3人は同時進行で5局の指導将棋を指す「5面指し」を披露した。

指導対局を前にあいさつする(右から)真田圭一八段、田中悠一六段、竹部さゆり女流四段=2024年5月26日午前10時0分、北海道紋別市、神村正史撮影

 真田八段はあいさつで「我々3人ともこちらからは激しく攻めていかないので、落ち着いて指せば十分勝つことができるかな」とアドバイス。

「5面指し」で指導対局を行う真田圭一八段=2024年5月26日午前10時30分、北海道紋別市、神村正史撮影

 田中六段は「自分で考えてしっかり狙いを持って指してもらいたい。同じ建物の中で名人戦が行われている。同じ建物で同じ時間に将棋を指したというすごくいい思い出になると思う」と話した。

「5面指し」で指導対局を行う田中悠一六段=2024年5月26日午前10時29分、北海道紋別市、神村正史撮影

 竹部女流四段は「北海道はたくさんプロの棋士、女流棋士を輩出しているところです。今日がみなさんにとって始めの一歩になるかもしれないので、ぜひぜひこの一期一会を楽しんでいただけたら」と述べた。

「5面指し」で指導対局を行う竹部さゆり女流四段=2024年5月26日午前10時30分、北海道紋別市、神村正史撮影

時間内に勝敗つかない対局も

 紋別中1年の見上結珂(ゆうが)さん(12)は、竹部女流四段に大駒のひとつ「飛車」を落としてもらう「飛車落ち」というハンディ戦で挑んだ。

指導対局で竹部さゆり女流四段(右)に挑む見上結珂さん=2024年5月26日午前10時14分、北海道紋別市、神村正史撮影

 時間が切れて勝敗がつかないまま終了することになったが「いい手を見つけられて良かった。藤井名人をめざしています。プロ棋士になりたいです。(第5局が指されている)上(の階)から、ものすごいオーラを感じて、その中で将棋を指せるのは光栄だなと思いました」と話した。

プロ3人それぞれが「5面指し」で指導対局を行った=2024年5月26日午前10時19分、北海道紋別市、神村正史撮影

 紋別市での第5局は、開幕3連勝後に1敗を喫した藤井名人が名人初防衛を果たすか、豊島挑戦者が連勝して復位に望みをつなぐか、注目の一局だ。

 第2日の27日には田中六段と竹部女流四段が第5局の進行を実況解説する大盤解説会も行われる。(神村正史)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。