勤務先の横浜市立小学校で女児に性的な行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われた元校長の男性被告に対し、横浜地裁は24日、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。倉知泰久裁判官は「校長という責任ある立場で行為に及んだことは、強く非難されるべきだ」と述べた。前回公判までは同市教育委員会が職員を動員して一般の傍聴を妨げていた。

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 判決によると、被告は2021年9~10月ごろ、小学校の校長室内で複数回、女児(当時9)の唇にキスするなどした。倉知裁判官は「女児の今後の心身の発育に影響を与えることも強く懸念される」と指摘。刑事責任は決して軽くないと断じた。

 一方で被告が今後、子どもに関わる仕事に就かないと反省の態度を示したことなどを考慮し、執行猶予を付けた。判決後、被告は報道陣の取材に無言で立ち去った。

 横浜市教委は既に被告を処分。被害者のプライバシー保護のために公表を遅らせることができるとした基準に従い、今後公表する予定としている。

 捜査関係者によると、神奈川県警は被害者のプライバシー保護のため逮捕時に発表しなかった。公判でも被告の名前などは非公開で審理された。

 前回の4月24日の公判では、開廷1時間前には数十人が並び、傍聴席は埋まった。同市教委は朝日新聞の取材に被告の公判でも多数の職員を動員したことを認めている。この日の公判では、開廷15分前には15人以上が列をつくり、開廷直前には傍聴席の9割近くが埋まった。

 同市教委は21日、教員による児童生徒へのわいせつ事件の刑事裁判4件の傍聴に多数の職員を動員したことを発表し、謝罪した。動員の理由はいずれも「事件の被害者側からの要請」としている。(手代木慶、中嶋周平、稲葉有紗)

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