1945年5月25日夜、赤坂・青山地域を中心に東京都心部が大きな被害を受けた「山の手大空襲」から79年を迎えるのを前に、東京都港区北青山の複合施設「ののあおやま」で22日、空襲の記憶を継承する朗読会が開かれ、区立青山小学校6年の児童24人を含む約50人が耳を傾けた。

◆自らも「城北大空襲」で被災…2006年から続ける活動

山の手空襲の体験が書かれた文章を朗読する矢田稔さん。右から下坂亮介さん、矢内佑奈さん

 朗読会は、少年期に童謡歌手として戦意高揚のための戦時童謡を歌った、俳優で声優の矢田(やだ)稔さん(93)が2006年に始めた。自身も1945年4月13日、豊島区などを襲った「城北大空襲」で被災。そうした体験を通じて非戦を訴えようと、コロナ禍での中断を除き毎年続けている。  矢田さんは、戦後60年の2005年に連載された東京新聞記事をまとめた「あの戦争を伝えたい」(岩波書店)から、表参道に今もある「山陽堂書店」へ多くの人が逃げ込み一命を取り留めた一方、周囲は焼死者で埋め尽くされたエピソードを読み上げた。矢田さんに賛同した俳優の矢内佑奈さん(66)、下坂亮介さん(71)も、空襲経験者による表参道での被災証言をそれぞれ朗読した。  青山小の志田花香さん(11)は「今過ごしている街が燃えてしまったことを、今まで自分のこととして考えなかった。聞いたことを次の世代にも伝えていきたい」と話した。  東京大空襲・戦災資料センター(江東区)のホームページによると、山の手大空襲では都の調べで3352人が死亡した。(小松田健一) 

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