伊藤信太郎環境相は16日の閣議後記者会見で、昨年度に過去最多の人的被害をもたらしたクマを「指定管理鳥獣」へ追加したと発表した。絶滅の危険が高い四国のツキノワグマは除く。都道府県による捕獲や生息状況の調査事業が国の交付金の対象となる。
伊藤氏は記者会見で、交付金の支給時期について「今年の秋のクマの出没に間に合うように準備を進めたい」と説明。「捕獲に偏らない対策を都道府県に働きかけたい」と強調し、対象には柿などクマを誘引する果樹の管理や、出没時の対応マニュアルの作成、訓練も含める考えを示した。
環境省の専門家検討会が2月、クマを指定する方針案を決定。中央環境審議会への報告を経て、鳥獣保護法の施行規則を改正し、指定した。
検討会の方針案は、既に指定されているニホンジカやイノシシと比べると、クマは繁殖力が弱いため、異なる支援メニューが必要と指摘。適度な捕獲や出没対策を組み合わせた被害防止策を強化するよう提言していた。
環境省によると、ヒグマとツキノワグマは34都道府県に分布。うち四国以外では分布域が拡大し、推計個体数も多くの地域で増加傾向を示している。昨年度のクマによる人的被害は19道府県の計198件で、死者6人を含む219人(速報値)。いずれも統計がある2006年度以降で最多となった。
被害多発を受けて、北海道、東北6県、新潟県による「北海道東北地方知事会」が昨年11月、指定管理鳥獣とすることなどを伊藤氏に要望。専門家検討会が議論していた。〔共同〕
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