環境省は21日、長崎県対馬市上県町で交通事故に遭った後に保護し、野生復帰訓練をして放獣した雄のツシマヤマネコの「ひかり」が5月18日、同町内の倉庫で死んでいるのが見つかったと明らかにした。

簡易的な病理解剖の結果、胃の中に魚が詰まっており、吐き出そうとして窒息死した可能性がある。岡山理科大の協力を得て、詳しい死因を調べている。

ひかりは昨夏に保護された際、生後2〜3カ月で親離れできておらず、野生で生きる能力が不足していたため、自然環境に近い大型ケージのある「ツシマヤマネコ野生順化ステーション」(対馬市)に移された。

同省はネズミの捕獲や木登りといった訓練を重ね、今年4月22日、施設で訓練した個体として初めて放獣されていた。

同省によると、5月16日朝、住民が設置した箱型のわなにかかっていると通報があった。健康状態を確認した上で同日夕、再放獣した。18日に倉庫で衰弱したヤマネコがいると通報を受け、関係者が現場に駆け付けた後、死んでいるのが確認された。

放獣時の体重は約3キロだったが、約2キロに減少。脱水症状がみられ、口の中には釣り針が刺さっていた。他のヤマネコと争ったような外傷は見られなかった。

環境省の担当者は「順化訓練の内容や放獣の判断が正しかったかなどを検証し、今後につなげたい」と話した。〔共同〕

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。