◆昨春までに資金繰り悪化把握か
ザ・グランシールドの会社説明パンフレットに写る社長の中村佳敬容疑者(左)と幹部の秋元宙美容疑者
一方、警視庁生活経済課の調べで、中村容疑者らは、昨春までに社債を発行していた信用保証会社の資金繰りが悪化し、配当が見込めないと把握していたとみられることも判明。同課は16日、同法違反容疑で中村容疑者らを送検し、法人としてのグランシールドも書類送検した。詐欺容疑での立件も視野に全容解明を進めている。◆近づく償還期限「借り換えを」
捜査関係者によると、中村容疑者らは2019年1月から「満期5年で元本保証」をうたい信用保証会社「トラステール」の社債購入を勧誘。しかし、満期を迎えて償還期限となる23年2月頃になってから、出資者らに「新たに借り換えてほしい」「次は特別に3年で償還する」などとして償還を先延ばしさせ、積極的に借り換えを求めたという。 同課は、容疑者らが、トラステールは集めた金を配当の支払いに回すだけの自転車操業をしており、資金難に陥っていたことを把握していたとみている。 ◇ ◇ ◇◆質問攻め「だますつもりなかった」
送検のため警視庁池上署を出る中村佳敬容疑者=16日
連絡が取れなくなっていた中村容疑者が、出資者らの前に姿を現したのは4月16日。東京地裁が昨年12月にグランシールドの破産手続き開始を決定し、これを受けて東京都内で開かれた債権者集会の場だった。関係者によると、トラステールの社債を購入した出資者たちは代わる代わるマイクを握り、中村容疑者を質問攻めにした。 「昨年2月には利払いが滞っていたのに、なぜ3月になっても社債の勧誘を続けたのか」とただされると、中村容疑者は「『破綻しているからお金を集めて逃げよう』との発想は全くなかった。指示もしていない」「だますつもりはなかった」などと釈明。さらに、「最後までトラステールを信用したことが悪かった。皆さんに悪意で(社債を)勧めたわけではない」などと同社へ責任転嫁した。◆「誠意見えない」出資者憤り
繰り返される言い訳に出資者はいら立ちを募らせ、終始マスク姿の中村容疑者に「(顔が見えず)誠意が見えない。外してほしい」と迫る一幕もあったという。 警視庁生活経済課の調べでは、中村容疑者がトラステール側から少なくとも10億円の報酬を受け取り、月額250万円のマンション家賃、高級外車の購入やキャバクラでの遊興費に充てたことが判明している。(小倉貞俊)
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