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こんにちは。金融機関で働く、フルタイムママです。昨年12月に育児休暇から復職し、産休前とは違う業務を担当しています。私自身が初めて経験する業務であり、残業免除申請を行うとの申し出に対し、支店長を含む役席者がフォローするとの条件付きであったため、安心して業務ができると考えていたのですが、最近は毎日職場に行くことがつらいです。例えば、マニュアルを見ても記載がなく、直属の上司に「仕事で行き詰まった箇所を教えてほしい」と伝えても、「少しは自分で考えてやってくれ」と言われ、突き放されたような気持ちになりました。上司は営業担当者の案件も抱えており、(忙しいから仕方ないよな)と思うしかありませんでした。また、優先順位をつけて事務処理をしているのですが、ほかの事務処理(実行後の書類を保証会社に郵送したり、案件ごとにファイルを作成する)まで手が回らず、直属の上司以外の役席者が、私の代わりに案件の書類を整理しています。そのため、少し離れた席から「全然書類の整理ができてない!」と怒りの声が聞こえてきます。お客様との打ち合わせ時には直属の上司と一緒に同席します。書面(次回までに用意してほしいリスト)に記載がない登記簿のことを、上司からお客様に説明をするのですが、私の頭の中はハテナがいっぱい。お客様が司法書士に相談し、司法書士から私宛に電話がかかってくるのですが、何のことか理解できず上司に転送してしまいます。今の私には仕事量が多く、前任者に事務を手伝ってもらいたいと申し出をしたこともありましたが、上司からはNOの返事しかもらえず、手詰まり状態です。子どもがまだ小さく、体調不良になることもあり、私が看るときはホッとしていますが、毎日職場に行くことがつらく心が折れそうです。最近は些細なことで自分のデスクで泣いてしまうこともあります。今後、この仕事を続けるべきか、転職や退職をしたほうがいいのか、悩んでいます。毎日このような状態でつらく、心が折れそうです。TS 会社員自分を追い込まず、できる限りの工夫や努力を
この連載の記事一覧はこちら育休から復帰し、新しい業務を担当されているとのことで、非常に苦労されている様子が伝わってきます。
キャリアも人生も、短期的な事柄に振り回されるのではなく、長期的な視点で考え、その前提でいかに対応するかが大切です。
とは言え、体調を崩したり、心を病んでしまっては元も子もありませんから、あまり自分を追い詰めすぎないことも大切です。
その前提で、できる限りの工夫や努力をしてみるのがよいでしょう。
仕事において結果を出すためには、ご自身の能力や経験・スキルと、その場の環境がマッチしていることが大切です。
どんなに優秀なヒトでも、どの職場や環境でも活躍できたり、結果を出せるというものではありませんし、反対にとある職場で結果を出せなかったとしても、環境を変えることで芽が出る場合もあります。
つまり、仕事において結果を出すための方程式は、「自分自身×環境」という方程式であり、現状を抜本的に変えようとすれば、その双方に働きかける必要があります。
転職を希望するヒトの中には、現状の仕事や職場に対して不満があったり、または結果が出せないときに、転職が唯一の解決策だと思うヒトがいます。
しかしながら転職というのは、いわば先ほどの方程式でいうと「環境」という要素のみの変化で、結果を変えようとする試みです。
その場合、もちろん環境が変わって成功したというケースもあるのですが、転職からしばらくすると、また前職時代と同じような不安や不満を抱えるようになります。
なぜなのでしょうか。
環境を変えただけでは結果は出せない
それは、環境を変えただけで、自分自身が変わっていないからです。
結果を大きく変えようと思ったら、方程式の片方だけではなく(上記の例で言うと環境という要素)、双方に働きかける必要があります。つまり、自分も変わるし、環境も変える、ということですね。
自分が変わるというのは、仕事のやり方を変えてみる、人間環境の構築手法を改めてみるとか、または新たなスキルの取得をする、といったことです。
環境を変える、つまり転職をする、というと、非常に大きな変化ですから、その大きな変化を遂げたことによって「何かを成し遂げた」感を持ってしまい、満足してしまうヒトは非常に多いです。
大きな行動をすることで安心し、大きな変化があったことで、仕事の結果や成果も出せると錯覚してしまうのです。
しかしながら、繰り返しですが、抜本的な変化を求めるのであれば、やはり方程式の双方を変える必要があります。
そして順番としては、環境を変える前に、自分自身を変えてみる、ということが大切です。
なぜならば、自分自身を変えるほうが、環境を変えるよりも容易ですし、もっというと、自分自身の成長にもつながるからです。
あれこれと変えてみたけど、やっぱり変わらない、という場合は、いよいよ環境のほうへアプローチしてみましょう。
それが前述の「できる限りの工夫や努力をする」です。
その結果として、仕事の成果が変われば、自分自身の成長という意味においても万々歳ですし、そうでなかったとしても「できる限りのことはした」という達成感が持てて、その達成感が自分自身をより深く知る、ということにもつながるでしょう。
いずれにしても、まずは自分自身でできることをする、ということがファーストステップです。
さて、今回の仕事におけるTSさんの状況ですが、このようなケースにおいては、往々にしてお互いの期待感や、目線がすれ違っていることが想定されるので、まずはその解消を考えたほうがよいでしょう。
つまり、TSさんが思っている優先順位や、「やるべきこと」が、上司や周りが思っている優先順位や、「やってほしい」と思っていることとズレている可能性です。
これは実は非常に多くあるパターンです。このような場合は、自分がどんなに頑張っても、どんなに努力しても、頑張る方向性や努力の方向性が、相手が求めるものと異なるため、まったく評価されない、ということにつながります。
つまり空回りしてしまう、ということですね。
自分と上司の優先順位にズレが生じていないか
TSさんご自身は、優先順位をつけて事務処理をしている、とお考えですが、もしかしたらその優先順位は、上司や周りの方が考えるものとは異なっている可能性もあります。
また、例として挙げていただいている「次回までに用意してほしいリスト」に記載がない事項が出た、という事例があるのであれば、「次回からは登記簿もリストに入れましょうか?」というような提案を、期待されている可能性もあります。
新しいことですから、何でも完璧にできるとは、周りも思っていないハズです。
であるからこそ、優先順位は何か、自分は何を期待されているのか、といった目線合わせを綿密に行ったほうがよいですし、新しい目線からの提案なども期待されていると、理解したほうがよいでしょう。
少なくとも、そういった期待値や方向性のすり合わせがないと、今後も状況は変わらないでしょうから、まずはそれを行うのです。
そしてその結果として、自分自身をまずは変えてみる、ということにつながるのです。
そうやって、仕事の結果がどの程度変わるのか・変わらないのかを見極めつつ、その後の選択肢を長期的な目線に立って考えればよいのです。
育休からの復帰での新しい仕事に加え、家事や育児も非常に大変だと思いますが、人生もキャリアも長期目線が大切です。
目先にとらわれず、長期的な視点を持つ
目先の困難や、短期的な事柄に大きく振り回されるのではなく、できることから始め、大きな変化についてはじっくりと考えてみましょう。
TSさんがそんな姿勢で、まずは自分自身の工夫をもって対応し、ご自身にとってベストな選択肢をゆっくりと落ち着いて検討されるであろうことを応援しております。
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