GW後に学校に行きたくない子どもたち。親はどうサポートすればよいのでしょうか。※写真はイメージ (写真:mits / PIXTA)長期休みが終わり、学校に行くのがつらいと感じる子どもたちは多いです。宇都宮短期大学附属高等学校の教頭である萩原俊和氏との共著『高校生活の強化書』を上梓した、東大カルペ・ディエムの西岡壱誠さんが、親子でのGW後の乗り越え方をお話しします。

GWが明けたこのタイミングで、親御さんたちからは、よくこんなお悩み相談を受けます。

「GWが明けてから、うちの子は朝起きられなくなっている」「昼夜逆転した生活を送っていたせいで、遅刻してしまったり、休んでしまって、困っている」と。

ちょっと朝眠そうにしていたり、少しだけ遅刻してしまうくらいなら、大きな問題ではないかもしれません。ただ、それが長く続いてしまうと、学校を何日も休んでしまったり、五月病になって、そのままずるずると学校に行けなくなってしまうこともあります。

そんな状態を避けるためには、親御さんの協力が必要です。子どもが昼夜逆転した生活を続けてしまわないように、しっかりと生活習慣をもとに戻してあげる必要があります。そのために重要なことを、今回はお伝えしたいと思います。

昼夜逆転を解消するための2つの方法

まず、いちばん最初にやるべきことは2つです。

・夜、子どもの部屋を暗くすること。

・夜、子どものスマホを夜間モードにすること。

この2つを守っていると、GW後の昼夜逆転が解消される場合が多いです。

なぜこの2つが重要なのでしょうか。まず、大前提として、昼夜逆転を直して、生活リズムを取り戻すためには、シンプルに「朝きちんと起きること」「夜きちんと寝ること」が大切です。

そして多くの場合、夜に寝る時間が遅いから、朝起きられなくなってしまいます。では、どうすれば夜にぐっすり眠ることができるのでしょうか? とてもシンプルな方法ですが、部屋を暗くすることがいちばん効果があります。

寝ている時間帯は、自律神経のうち、副交感神経が優位になり、体がリラックスした状態になります。逆に明るい照明をつけたままにすると、活動時に働く交感神経が優位になり、目が冴えて眠れなくなってしまいます。

一方で親御さんの努力を邪魔する存在があります。スマホです。スマホから発せられるブルーライトも、交感神経を優位にさせます。

そのため、夜にスマホをいじるのはよくありません。とはいえ、スマホを没収してしまうと、子どもは嫌な気持ちになることもあるでしょう。親から信じられていないように感じて、関係性に傷が入ってしまうかもしれません。

ですから、スマホを使うにしても、夜間モードにして、ブルーライトの量を減らすように促しましょう。部屋を暗くするのも、スマホの夜間モードも、どちらもシンプルなやり方ですが、睡眠にはとても効果があります。

逆に、朝の時間に必要なのは、カーテンを開けることです。朝日を浴びると、人間の体内時計はリセットされることは有名な話ですが、朝にしっかりと日光を浴び、「今日も1日頑張るぞ」という気分になることはとても大切です。

親御さんは子どもに、「朝よ!起きなさい!」と言うだけではなく、きちんと部屋のカーテンも開けてあげると、自然と起きられるようになります。

休みの日だから遅い時間に起きるはキケン

もう1つ、朝の時間帯で重要なのは、平日と休日も、同じ時間で起きることです。例えば、平日はいつも朝の7時に起きる人でも、休日は朝の9時以降に起きる、という人も少なくないのではないでしょうか。

逆に子どもが10時に起きてきても、「まぁ、休みの日だし、いいんじゃない」と何も言わないご家庭もあるでしょう。しかし実は、体に負荷をかけてしまい、よくないと言われています。いわゆる時差ぼけと同じ状態になってしまうので、規則正しい生活リズムを整えるためには、朝起きる時間は平日と休日とで変えないほうがいいのです。

もしそれでもお子さんが眠そうだったら、「昼寝をしてもいい」と言いましょう。いろんな方法を使って、ぜひ朝は同じ時間に起きるようにしてあげてください。

さて朝と夜、両方の生活習慣をきちんと守ったうえで、もう1つ、意識して指導する必要があることがあります。それは、「遅刻はしないようにさせる」ということです。

子どもが朝なかなか起きれない・起きたくない気持ちは非常によくわかるため、遅刻に対しても、つい甘くなってしまう親御さんも多いと思います。

「まあ、遅刻しても、学校にさえ行けるならいいよ」と言ってしまう場合も多いでしょう。しかし遅刻は、ただ「学校に遅れる」というだけではない、違う意味が隠されています。それは、「遅刻する子どもは、学校生活全体がうまくいかない」ということです。

遅刻でいろんな物事がうまくいかなくなる

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学校の先生の中では有名な話ですが、「遅刻が多い学校ほど、いろんな物事がうまくいかなくなったり、乱れてしまう」というものがあります。遅刻は、いろんな問題につながってしまうということです。

例えば、遅刻によって学校の授業に置いていかれてしまうかもしれません。朝起きるのが遅くなって、健康的な生活が送れなくなり、病気がちになってしまうかもしれません。友達同士で話す時間が少なくなって、友達関係がうまくいかなくなるかもしれません。

1時間目にとても面白い出来事があったとしても、遅刻してしまったら、その面白さを共有できませんよね。こんなふうに、遅刻をすると、さまざまなマイナス要素が生まれてしまうものなのです。

そのため、遅刻はできる限りしないほうがいいのです。内申点や、授業についていけるか、といったこと以上の意味が、そこにはあるのです。

ちなみに、東大受験の指導をしている塾の先生からは「遅刻をしている受験生ほど落ちやすく、しない受験生ほど合格しやすい」という話もよく聞きます。

とはいえ、「遅刻しないように、親が厳しく指導するべきだ」とは思いません。あくまでも本人が自分の意思で「遅刻しないようにしなきゃ」と思えることのほうが重要です。

遅刻のデメリットについてしっかりと親御さんが話し、「あなたさえよければ、お母さんが朝起こすけど、どうする?」と聞いて、了承をもらえた場合に、朝遅刻しないように起こしてあげるようにしましょう。それまでは親御さんのほうで、夜に部屋を暗くして、朝にカーテンを開ける、ということをさりげなくやってあげるといいと思います。

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