GWが明けたこのタイミングで、親御さんたちからは、よくこんなお悩み相談を受けます。
「GWが明けてから、うちの子は朝起きられなくなっている」「昼夜逆転した生活を送っていたせいで、遅刻してしまったり、休んでしまって、困っている」と。
ちょっと朝眠そうにしていたり、少しだけ遅刻してしまうくらいなら、大きな問題ではないかもしれません。ただ、それが長く続いてしまうと、学校を何日も休んでしまったり、五月病になって、そのままずるずると学校に行けなくなってしまうこともあります。
そんな状態を避けるためには、親御さんの協力が必要です。子どもが昼夜逆転した生活を続けてしまわないように、しっかりと生活習慣をもとに戻してあげる必要があります。そのために重要なことを、今回はお伝えしたいと思います。
昼夜逆転を解消するための2つの方法
まず、いちばん最初にやるべきことは2つです。
・夜、子どもの部屋を暗くすること。
・夜、子どものスマホを夜間モードにすること。
この2つを守っていると、GW後の昼夜逆転が解消される場合が多いです。
なぜこの2つが重要なのでしょうか。まず、大前提として、昼夜逆転を直して、生活リズムを取り戻すためには、シンプルに「朝きちんと起きること」「夜きちんと寝ること」が大切です。
そして多くの場合、夜に寝る時間が遅いから、朝起きられなくなってしまいます。では、どうすれば夜にぐっすり眠ることができるのでしょうか? とてもシンプルな方法ですが、部屋を暗くすることがいちばん効果があります。
寝ている時間帯は、自律神経のうち、副交感神経が優位になり、体がリラックスした状態になります。逆に明るい照明をつけたままにすると、活動時に働く交感神経が優位になり、目が冴えて眠れなくなってしまいます。
一方で親御さんの努力を邪魔する存在があります。スマホです。スマホから発せられるブルーライトも、交感神経を優位にさせます。
そのため、夜にスマホをいじるのはよくありません。とはいえ、スマホを没収してしまうと、子どもは嫌な気持ちになることもあるでしょう。親から信じられていないように感じて、関係性に傷が入ってしまうかもしれません。
ですから、スマホを使うにしても、夜間モードにして、ブルーライトの量を減らすように促しましょう。部屋を暗くするのも、スマホの夜間モードも、どちらもシンプルなやり方ですが、睡眠にはとても効果があります。
逆に、朝の時間に必要なのは、カーテンを開けることです。朝日を浴びると、人間の体内時計はリセットされることは有名な話ですが、朝にしっかりと日光を浴び、「今日も1日頑張るぞ」という気分になることはとても大切です。
親御さんは子どもに、「朝よ!起きなさい!」と言うだけではなく、きちんと部屋のカーテンも開けてあげると、自然と起きられるようになります。
休みの日だから遅い時間に起きるはキケン
もう1つ、朝の時間帯で重要なのは、平日と休日も、同じ時間で起きることです。例えば、平日はいつも朝の7時に起きる人でも、休日は朝の9時以降に起きる、という人も少なくないのではないでしょうか。
逆に子どもが10時に起きてきても、「まぁ、休みの日だし、いいんじゃない」と何も言わないご家庭もあるでしょう。しかし実は、体に負荷をかけてしまい、よくないと言われています。いわゆる時差ぼけと同じ状態になってしまうので、規則正しい生活リズムを整えるためには、朝起きる時間は平日と休日とで変えないほうがいいのです。
もしそれでもお子さんが眠そうだったら、「昼寝をしてもいい」と言いましょう。いろんな方法を使って、ぜひ朝は同じ時間に起きるようにしてあげてください。
さて朝と夜、両方の生活習慣をきちんと守ったうえで、もう1つ、意識して指導する必要があることがあります。それは、「遅刻はしないようにさせる」ということです。
子どもが朝なかなか起きれない・起きたくない気持ちは非常によくわかるため、遅刻に対しても、つい甘くなってしまう親御さんも多いと思います。
「まあ、遅刻しても、学校にさえ行けるならいいよ」と言ってしまう場合も多いでしょう。しかし遅刻は、ただ「学校に遅れる」というだけではない、違う意味が隠されています。それは、「遅刻する子どもは、学校生活全体がうまくいかない」ということです。
遅刻でいろんな物事がうまくいかなくなる
『高校生活の強化書』(東京書籍)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします学校の先生の中では有名な話ですが、「遅刻が多い学校ほど、いろんな物事がうまくいかなくなったり、乱れてしまう」というものがあります。遅刻は、いろんな問題につながってしまうということです。
例えば、遅刻によって学校の授業に置いていかれてしまうかもしれません。朝起きるのが遅くなって、健康的な生活が送れなくなり、病気がちになってしまうかもしれません。友達同士で話す時間が少なくなって、友達関係がうまくいかなくなるかもしれません。
1時間目にとても面白い出来事があったとしても、遅刻してしまったら、その面白さを共有できませんよね。こんなふうに、遅刻をすると、さまざまなマイナス要素が生まれてしまうものなのです。
そのため、遅刻はできる限りしないほうがいいのです。内申点や、授業についていけるか、といったこと以上の意味が、そこにはあるのです。
ちなみに、東大受験の指導をしている塾の先生からは「遅刻をしている受験生ほど落ちやすく、しない受験生ほど合格しやすい」という話もよく聞きます。
とはいえ、「遅刻しないように、親が厳しく指導するべきだ」とは思いません。あくまでも本人が自分の意思で「遅刻しないようにしなきゃ」と思えることのほうが重要です。
遅刻のデメリットについてしっかりと親御さんが話し、「あなたさえよければ、お母さんが朝起こすけど、どうする?」と聞いて、了承をもらえた場合に、朝遅刻しないように起こしてあげるようにしましょう。それまでは親御さんのほうで、夜に部屋を暗くして、朝にカーテンを開ける、ということをさりげなくやってあげるといいと思います。
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