北海道東部を中心とする道内各地で5日、国の特別天然記念物タンチョウの越冬分布調査があった。冬の給餌(きゅうじ)を始めた昭和20年代後半から70年以上続く調査で、生息数の推定などの基礎資料となる。道によると、道央やオホーツク沿岸など47市町村370地点で小中学生や自然保護団体の会員らが個体数を記録した。
タンチョウは乱獲や湿原の開発により明治時代に絶滅したと考えられていた。1924(大正13)年に釧路湿原で十数羽が「再発見」。今年で100年となる。
越冬分布調査は52年度に始まった。初年度は33羽、2005年度には1千羽を超え21年度は最多の1525羽に。生息地や目撃場所が広がり、調査地点数も増やしてきた。昨年度からは道庁のホームページで調査日に撮影されたタンチョウの画像を募集。その情報も調査結果に加味している。
5日の調査は、国や道の給餌場周辺では同時刻で一斉に実施。それ以外では調査員が各地点を回った。
国の三大給餌場のうち2カ所がある鶴居村では、村を貫く道道沿いで鶴居中の生徒約30人が10カ所に分かれて双眼鏡や数取器を構えた。調査時間の午前9時にデントコーン畑に成鳥2羽が飛来。刈られた跡に落ちているコーンの粒を探す様子を見ながら、飛んできた方向や時間を用紙に記入した。
参加した梅津花鈴さん(2年)は「家の牛舎の裏でよく見かけるのになかなか来なくて心配したがホッとした」と話していた。
来年1月には厳冬期の越冬分布調査も予定している。
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