(写真:Luce/PIXTA)「集中力が足りない」「ついダラダラしてしまう」と時間の使い方について、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。そんな方のために、同じように「一度きりの人生で、今という時間は二度とやってこないのに、なんで自分は時間を無駄に使ってしまうのか」と以前は悩んでいた編集者・柿内尚文(かきうち・たかふみ)氏が、時間の使い方について考えました。書籍『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』を一部抜粋・再構成し、時間の使い方のコツをご紹介します。

人生には「4つの時間」しかない

人生には「幸福の時間」「投資の時間」「役割の時間」「浪費の時間」の4つの時間しかありません。

「幸福の時間」はやりたいこと、喜びを得られることをして幸せを感じる時間。

「投資の時間」は目的のために努力している時間。

「役割の時間」はやらなければいけないことをしている時間。

「浪費の時間」は無意識に過ごしてしまうムダだと感じる時間です。

といっても完全にひとつずつには分けられない時間もあります。「投資」と「幸福」が両方ある時間もあれば、「役割」と「幸福」が両方ある時間もあります。

(出所)『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』より。イラスト/竹内巧

4つの時間をどう配分するか、人によって選択は異なります。たとえば次の表のAさんとBさんのケース。同じ行動に対して、時間の仕分けは違っています。その時間にどんな意味を持つかによって、その時間の価値は変わるのです。

4つの時間に対する意識が必要

(出所)『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』より

この4つの時間ですが、それぞれの時間に対する「意識」が必要です。たとえば、「幸福の時間」を増やしたければ「幸福の時間であることを意識」することです。人は無意識でいると、つい「幸福」に気づかなくなる生き物です。

世界的に有名な哲学者、アランのこんな言葉があります。

人は「幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」

意識して「幸福の時間」をつくらないと、幸福はなかなか生まれてきません。逆に考えれば、意識的に幸福の時間をつくることも可能だということです。コーヒーとの向き合い方のように、時間への意識を変えることを「時間磨き」と僕は読んでいます。同じ時間でも、磨き方次第で、その時間への感じ方が大きく変化します。

スペシャルな毎日よりもパーフェクトな1日を

たとえば毎日を大切に生きたいと思った時。本当は毎日をスペシャルにできたらいいのでしょうが、そんなに簡単にスペシャルにはできません。

たとえ毎日をスペシャルにはできなくても、「時間磨き」をすればパーフェクトな1日を目指すことはできるんじゃないでしょうか。

「スペシャルな毎日」は非日常的な時間がベースです。一方で「パーフェクトな1日」は日常の時間がベースでもつくれます。日常のさまざまな時間を磨き、そこに喜びや幸せを感じていく。それがパーフェクトな1日につながります(これはその1日が完璧ではなくても、自分が満足できる1日にするという意味なので、「完璧主義」とは異なります)。

スペシャルな毎日より、パーフェクトな1日に。こう考えれば、今日からすぐにやれることがあります。時間を磨くひとつの方法が、視点を変えてみることです。

平凡な日常を淡々と描く映画がありました。劇中、大きな出来事も起きず、日が昇り、沈んで、また次の日になる。そんな日常が描かれているのですが、そういった作品を見ると、幸せな気持ちがわいてきます。

平凡だけど丁寧な暮らし。それは当事者からすると、飽き飽きするものかもしれませんが、映画の観客という第三者からは幸福感に満ちた時間に見えます。

この感覚を自分の日常に持ち込むのです。自分がコーヒーを飲んでいるシーンを第三者の視点で見たら、その人が幸せそうに見えるかどうか。

そんなことを意識していると、実は日々の中に幸福の種がたくさん落ちていることに気づけるんじゃないでしょうか。

「時間のポートフォリオ」をつくるだけで行動が変わる理由

(出所)『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』より

自分の時間がどう構成されているかを知るためにつくってほしいのが、「時間のポートフォリオ」です。

ポートフォリオとは、お金の世界では「資産の配分」という意味で使われますが、「時間のポートフォリオ」は、「自分の時間配分」という意味です。つまり、4つの時間(幸福・投資・役割・浪費)をどう分配しているかということです。

「多忙で、時間に追われている」という人の時間のポートフォリオは、「役割の時間」が多くなって、こんな感じじゃないでしょうか。

一方で、「時間をついダラダラ使ってしまう」という人のポートフォリオは、こんなイメージです。「浪費の時間」が多くなります。

『このプリン、いま食べるか? ガマンするか? 一生役立つ時間の法則』(飛鳥新社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

こうやって時間のポートフォリオを円グラフにすると、自分がどういう時間を過ごしているかが「見える化」します。見える化って、大切です。自分が思っていることと現実は、乖離することがよくあるからです。

体重計に毎日乗っていると、体重の増減が見える化し、自分の体重を正確に把握できるのですが、体重計に乗らないでいると、思っているよりも体重が増えていたなんてことがありえます。

バイアスがかかり、「太っていないはず」「このくらいならば体重に変化はないはず」という自分の願望が、事実をゆがめるからです。

同じように、なんとなく時間を過ごしていると、「役割の時間」や「浪費の時間」にどのくらいとられているかがあいまいです。なので、時間のポートフォリオをつくって、自分の理想と現実のギャップを知る必要があるのです。

理想の時間配分を把握する

(出所)『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』より

では次に、自分の理想の時間のポートフォリオも書いてみてください。「幸せの時間」が多い人生を歩みたい。成長するために「投資の時間」をしっかりとりたい。そんな思いがあれば、「幸福の時間」も「投資の時間」も多めのこんなポートフォリオになるかもしれません。

理想の時間配分がわかれば、あとは現実とのギャップをどう埋めていくかを考えていくだけです。理想のポートフォリオが見える化すれば、意識がそちらに向きやすくなり、結果的に行動も理想に近づいていってくれるはずです。

時間のポートフォリオを書き、自分の時間配分を見える化させてください。

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