「きつい・汚い・稼げない」の「3K」とも言われる農業のイメージを変えるため、飲食業への挑戦を始めたコメ農家がいます。自ら握った「おむすび」で、目指すは農業の「新3K」です。(2024年11月20日放送)
作業療法士から転身3年 感じた「危機感」
熊本県甲佐町のコメ農家古山仁(こやま じん)さん(35)。元々は作業療法士でしたが、患者の多くが食に問題を抱えていたことや、自身にも子どもが生まれたことをきっかけにコメ農家に転身しました。
コメ農家 古山仁さん「目の届く範囲の人には安心安全な食を自分の手で届けたいという思いからスタートしました」
土地探しから始まったコメ農家の生活も今年で3年目。古山さんのコメ作りは農薬や化学肥料を使わないため、手入れや管理に手がかかります。それでも、コメ作りから精米、発送までを一人で行うのは、質の管理と収益化の両立の目指しているからです。
古山さん「卸しが入ると農家に入るお金はどうしても少なくなるし、お客様となるべく近い距離を保ちたいので直売という形をとっている」
そんな古山さん、農家になって感じたことがあるといいます。
古山さん「(農業の)魅力を出していかなければ、次に農業をしたい人、日本の食を支える一次産業をしたいという人も増えていかない、危機感があります」
農業の魅力を広めるため、SNSでの情報発信にも注力。インスタグラムのフォロワーは1万人を超え、人気ユーチューバー『コムドット』ともコラボしました。
このような活動もあり、古山さんが作る『天寿米』は、関東を中心に月に50件以上の定期便の注文が入るまでになりましたが、一方で、課題も出てきました。
古山さん「本来であれば地産地消のように、熊本の方に多く知って食べていただきたいという思いが強くあった」
熊本県内でも知名度を高めようと、古山さんは11月から新たな挑戦を始めました。
二毛作には頼らない 目指すは農業の「新3K」
通常、コメ作りを終えると大豆や麦などを育てる二毛作が主流ですが、古山さんはコメ作りを行わない時期は「おむすび屋」に専念。次の年に備えて土地を休めることでおいしいコメを目指し、飲食店を経営することでコメの販売価格の約6倍の売り上げが得られると見込んでいます。
古谷さんのコメは、一俵60キロを約4万8000円で販売しています。同じ60キロのコメで、1000個おむすびを握ることが可能です。それを300円ほどで提供すると、約25万円の売り上げ増加に。「大幅に収益を改善できる」と期待を寄せます。
古山さん「農業は『きつい・汚い・稼げない』3Kと言われますが、『きれい・かっこいい・稼げる』農業をやっていきたいという思いがあります」
コメ作りも飲食も 予測困難
しかし、経験のない飲食業に難しさも感じています。
古山さん「きょうはちょっと少ないですね…お客様の流れがある時とない時と、日によって波がある状況です」
古山さん「本当に喜んでもらえるのか、お客さんが来てくれるのか、不安があったんですけれど『この場で食べておいしかったです』という声を聞くと、本当にやってよかったなと」
「稼げる農業」を体現することで農家の仲間を増やしたい。古山さんの挑戦は続きます。
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