昭和の時代に製造されたハンバーガーの自動販売機が、岩手県釜石市で今も現役で稼働していると聞き、取材しました。
懐かしい味は、東日本大震災で被災した男性に立ち直る勇気をくれた復活の味でもありました。

こちらは釜石市の洋服店『くにや』です。
お店の裏に案内されるとそこにあったのは・・

(くにや商会 鎌田英司社長)
「ハンバーガー自販機これです。これほんとに日本にあっても15台だね。そう、たぶん今、15台無いと思う。壊れてしまって」

社長の鎌田英司さんです。

ハンバーガー自販機との出会いは2011年でした。
鎌田さんは東日本大震災の津波で店が被災し、一時は廃業を覚悟しました。

(鎌田英司社長)
「昔から自分自体がハンバーガーの自販機好きだったから食べてみて、そしたらすごく勇気が出てきて。なんかハンバーガーの自販機に押されるような形というか
商売頑張ってみろみたいな」

鎌田さんは、再建する新しい店には自分を勇気づけてくれたハンバーガーの自販機をどうしても置きたいと思い、青森県にいた自販機の所有者を探し当てて、譲ってくれるよう交渉しました。

(鎌田英司社長)
「じゃ、売ってけで(売って下さい)と電話で話したらば、いや売らないと。俺はお金で売る気はないと。その代わり気持ちでは売る気はあると。じっくり話を聞かせてちょうだいと言われて、いっしょうけんめい今の思いとか、津波に対しての話とかいろいろ言ってったら、相手がもう参ったわと。あんたに譲ろう!俺の最後の機械を、と」

製造から50年以上経ちますが、今も現役で動いています。

(記者)
(硬貨を入れる→チャリンチャリン)
「これを押すと」
「加熱中というランプが点きました」(ゴトン!)
「あっ出てきました。出てきましたよ!ほら、チーズバーガー。うわぁ懐かしい!」

1個300円のこの自動販売機専用のチーズバーガーを作るメーカーは現在、国内に1か所しかありません。
昔は全国にあったハンバーガー自販機ですが、時代の流れで次々に引退し、ほとんど見かけなくなりました。

半世紀以上稼働するレトロなその味は、鎌田さんに震災から再び立ち上がる勇気をくれた味でした。

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