「からふる」では3月に、「ピアノが弾ける飛行機の整備士」を目指す男の子についてお伝えしました。きっかけは羽田空港で目にした飛行機事故の残骸。そんな男の子の夢を応援しようと、航空会社が、男の子にスペシャルな体験をプレゼントしました。

9月1日(日)、高知龍馬空港に1人の男の子がやってきました。高知県香南市に住む、6歳の川崎優翔(かわさき・ゆうしょう)くんです。

特技は「ピアノ」。国際コンクールのアジア大会や国内最大規模のコンクールで「金賞」を受賞するほどの腕前です。3月に優翔くんの活躍を放送した時、“意外な夢”を語っていました。

(優翔くん)
「(将来の夢は)飛行機の整備士です」

飛行機が大好きだという優翔くん。「整備士になりたい」と思うようになったのは、1月、国大会のため利用した羽田空港で、衝突事故を起こした後の飛行機の“残骸”を見たことがきっかけでした。

(優翔くん)
「飛行機が壊れちゅうところを見て『整備士になりたい』と思いました」

インターネットでも配信されたこのニュースが、東京の日本航空の社員の目に留まり、夢を応援しようと、優翔くんが特別に空港に招待されたのです!

(日本航空 整備本部 竹内奏さん)※南国市出身
「あの事故は、普段飛行機を利用される方以外にも、全世界にとって、非常にショッキングな事故だったと思っていますが、そういったところから『もう飛行機に2度と乗りたくない』ではなく『飛行機を直したい』と、プラスな夢を抱いていただいたことに、非常に感動しまして、いち航空会社社員として『何かできることはないか』と思い、今回の企画の立案に至りました」

この日は、優翔くんのため、航空会社の“お仕事体験”が開かれました。

優翔くんからは、次々と質問が…

(優翔くん)
「(エンジンは)どうやって分解するんですか?」

(整備士 中村英夫さん)
「エンジンを分解するときは、高知空港ではそこまで細かい分解はしないんですけど、羽田空港とか大きい空港で、エンジンを飛行機から外して、中を分解したりだとか…」

“整備士の心得”も伝授されました。

(整備士 中村英夫さん)
「『正直さ』がとっても大事です。『悪い時』は『悪い』。『お客様にとっては大変』だけど、『安全に飛べないな』と判断したら『絶対飛べません』と言い切れるような人じゃないとダメです」

大事な“心得”を学んだところで、“空港の裏側”を見学です。屋外の、こちらの倉庫には…

(整備士 中村英夫さん)
「これが『ボーイング737』の予備のタイヤ」

優翔くんとほぼ同じ大きさの、飛行機の「後輪」。これだけで、重さが数百キロあります!

(整備士 中村英夫さん)
「これはね、ここから空気を入れる。タイヤの空気はここから入れます。このネジは、こっち側とこっち側をくっつけている…」

そしてこちらは飛行機の「前輪」。

(整備士 中村英夫さん)
「車と同じくらい、頑張れば手で持てる。こんなので、あんな大きい飛行機を支えているなんて、すごいよね」

“空の安全”を支える様々な部品を見せてもらった優翔くん。ここで空港に、優翔くんが“担当”する飛行機が高知龍馬空港に着陸しました。

東京・羽田空港からやってきた、日本航空493便。高知龍馬空港の3番スポットに到着しました。優翔くん、中村さんと一緒に到着した飛行機へと歩み寄っていきます。

(整備士 中村英夫さん)
「あのくるくる回っているやつ?あれはね、鳥が間違って入ってこないように、『ここ、エンジンだよ』っていうのを教えてあげているの。あれが無いと真っ黒だから、鳥はわかんなくて(エンジンに)スポ~って入って行っちゃうから」

(優翔くん)
「あれ、さっきの!」

(整備士 中村英夫さん)
「ね、さっき見たね、タイヤね!さっき見たタイヤが、前に付いているものがあれで、大きかったタイヤがあれ!」

大好きな飛行機を目の前に、“発見”が止まりません。

(整備士 中村英夫さん)
「これ、エンジン。飛行機の」

(優翔くん)
「番号が…」

(整備士 中村英夫さん)
「番号が書いてあるね、順番がちゃんと決まっていて、この順番通りにちゃんと付けないと、片方が重くなるとガタガタって揺れちゃったりするから、決まった番号通りにちゃんと付けなきゃダメ」

憧れの整備士・中村さんからたくさんのことを学んだ優翔くんに、さらなる“サプライズ”が…。出発までの準備の間、“飛行機の中”を見学させてもらいました。

「ちょっと座ってみる?」

そう言われて、一番前の「クラスJ」のシートへ…

「座り心地はどうですか?」

(優翔くん)
「最高!」

特別な許可をもらってコックピットにも!ボーイング737の操縦席です。

目の前の様々な機器に、興味津々!

中村さんと同じ帽子をかぶった優翔くん、最後に「重要なミッション」を託されます。

(整備士 中村英夫さん)
「これから飛行機が出発するから、飛行機ってバックできないんだ。だから、あの大きなトラックで飛行機を押してあげて、飛行機が走り出せるところまで押し出してあげるんだけど、あのトラック、乗ってみる?乗ってみようか!」

(日本航空 竹内奏さん)
「整備士さんが今、パイロットとお話をして、どういう風に押すか決めました」

「プッシュバック」はとても難しい作業。安全に細心の注意を払ううえ、風向きや天候で飛行機を押し出す向きが変わるため、携わる全員の“連携”が求められます。

(運転手)
「徐々に左に曲がっていきまーす」

(日本航空 竹内奏さん)
「いま、エンジンが回り始めるき、それも見よってよ。一回止まって、逆向きに回り始めたろう?だんだん音が大きくなってきたよ」

飛行機は、無事に誘導路へ到着。「トーイングカー」を切り離し、優翔(ゆうしょう)くんは、“一番近い場所”で出発を見送りました。

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