こちらは、広島市内のスーパーで撮影されたコメの陳列棚です。ご覧の通り空っぽの状態です。コメを買い求めて何軒も店を回ったという方も多いのではないでしょうか。
そんなコメ不足の中、あるスーパーでは東広島市の農家が持ち込んだ産直米の新米がよく売れています。その人気ぶりに農家も活気づいていました。
広島市西区のスーパー「エブリイ楠木店」です。レジの真ん前に積まれたこのコメ…、東広島市黒瀬町の農家が産直米として持ち込んでいるコシヒカリの新米です。価格は5キロ袋が2980円と割高ですが、まとめ買いする人など次々に客が買い求めていました。
買い物客
「おコメがないんですよ。買ったばっかりだけど、買っとこうと思うて、新米じゃし。(割高なのは)しようがないね、何でも上がってるから」
この店では、今月16日から毎日、入荷。その量は、多い時には100袋ありますが、その日のうちにほぼ完売しています。
柴田和広 記者
「コメを出荷していたのは、東広島市黒瀬町の農家が作る会社でした。会長の 田辺寿孝 さん(81)は、自宅に設置した精米機でコメの袋詰めをしていました」
田辺商会 田辺寿孝 会長
「味はピカイチですよ」
田辺さんは息子で社長の英雄さん(52)と2人で、およそ20ヘクタールでコメを作っています。その主力が町内で盛んに作られている、盆ごろから収穫する “早期コシヒカリ” です。有機・減農薬栽培が親子のこだわりです。
田辺英雄 代表
「暑かった割には、すごく出来はいいと思います」
これまでもエブリイとの取引きはありましたが、産直コーナーに出品するライバルの農家が多く扱い量はわずかでした。ことしは事情が違いました。
田辺寿孝 会長
「今回は特に、棚に(コメが)ないということで、『出してくれ』言うたら、よそはまだコメはないんですよ。うちは早物ですからね。こういうチャンスはないですわね。広島の人にも田辺のコメがどれほどおいしいかいうのを試してもらえるチャンスでもあるし」
5キロ2980円という価格はエブリイの提案を受けたもので、去年に比べて3割高です。田辺さんによると「去年より3割高」は、ことしのコメの相場のようです。
実は、田辺さんは農業資材が高騰する中、もし、ことし、米価が上がらなければコメ作りをやめるつもりだったそうです。
田辺寿孝 会長
「合わんじゃないですか、今までのコメの値段で、田植え機(の値段)が倍になりますよ。もうけにならんことはすまーや、いうことになったんですよ、そしたら4月ごろからコメが上がる感じでね。やる気になったんです」
消費者にとって恵みのコメは、農家にとっても元気の種になったようです。業界の関係者によると、9月中旬ころには新米が出回り、コメ不足は解消に向かうとみられます。
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