パリオリンピック™で金メダルを獲得した、レスリングの清岡幸大郎選手。練習でのストイックさや、亡き父への思いなど、五輪前に行われた密着取材で素顔に迫りました。
日本時間11日の夜、レスリング男子フリースタイル65キロ級の決勝が行われ、高知市出身の清岡幸大郎選手(三恵海運)が2022年世界選手権覇者のラフマン・アモウザドハリリ選手(イラン)に10-3で勝ち、オリンピック初出場で金メダルを獲得しました。
高知県勢ではレスリング女子57キロ級の櫻井つぐみ選手(高知・香南市出身)も金メダルを獲得していて、3歳のころからともに競技を始めた2人が、高知県出身者としては92年ぶりの金メダルです。
高知県勢では、女子の櫻井つぐみ選手に続く初の快挙で、“夢舞台”での活躍が期待されます!オリンピックが近づく5月、清岡選手の練習がメディアに公開されていました。
■清岡幸大郎選手
「先日、世界最終予選が行われて、オリンピックの自分の階級に出場する選手が決まって、日を追うごとに(五輪が)近づいていくにつれて、実感もどんどん湧いてきて、『五輪に向けて頑張っていかなきゃな』と感じています」
23歳の清岡選手は、社会人1年目。この春日本体育大学を卒業し、現在は、兵庫県の「三恵海運」に所属しています。住んでいるのは神奈川県で、母校・日体大が練習拠点。北京オリンピック銀メダルの湯元健一コーチのもと、トレーニングに励んでいました。
■清岡幸大郎選手
「ひたすらスパーリング(実戦練習)をして、後輩に技術指導をしたり、逆に後輩の技術を見ていいところがあれば盗んだり、いろんな部分で勉強しながら練習させていただいています」
強豪選手が集まる日体大のレスリング場は、清岡選手にとって絶好の“鍛錬の場”。この日も、後輩との実戦練習に熱が入ります。相手は、“全日本王者”ですが…
清岡選手の持ち味は、「スピード」と「スタミナ」。この場面も、相手の一瞬の隙を突いて攻撃を仕掛け、「持久力」で抑え込み続けて主導権を渡しませんでした。
■日体大レスリング部 田南部魁星 主将
(Q.やっぱり、強いですか?)
「めちゃめちゃ強いですね、やっぱり。何をやっても完璧な人間なんで、レスリングぐらいは勝ちたいなと思うんですけど、レスリングも強いので、ズルいですよね(笑)」
練習の合間には、後輩へ積極的にアドバイス。
■清岡幸大郎選手
「常に戦わなくてもいいから、プレッシャーをかけるタイミングだけ、ここに『圧をかける』。…っていうのができるようになれば、もっと『怖さ』とか『圧』を相手は感じる。技を仕掛けにいかなくていいから、『組み手』のところで『プレッシャー』をかけるのがもう少しできるようになれば、もっと良くなる」
清岡選手がレスリングを始めたのは、3歳。同じパリ五輪、女子レスリングで金メダルを獲得した櫻井つぐみ選手とともに、櫻井選手の父・優史さんから指導を受けました。
2023年、櫻井選手のパリ五輪の壮行会が開かれましたが、この時清岡選手は、まだ出場が決まっていませんでした。
悔しさをバネに掴み取ったパリへの切符。それは、海外まで応援に来てくれる母・えりかさんや、おととし12月に病気で亡くなった父・義雅(よしまさ)さん(享年47)に捧げるものでもありました。
■清岡幸大郎選手
「『自分が好きでやっていることを、母も好きでいてくれること』が、何より一番嬉しいと思います。父に関しては、亡くなってしまう前に僕が海外での試合で戦っている姿を見せることができなかったので…」
「常に近くで見守ってくれているとは思っているので、パリにも付いてきてもらって、1人で戦っているんじゃなくて、マットの上に一緒に立っているくらいの気持ちで。一緒に『一番高い景色』を見せることができたらいいなと思っています」
「本当にたくさんの思いを背負って、自分としても、応援を力に変えることができるので、期待を全て背負ってパリの舞台で戦っていきたいと思います」
金メダルを獲得した後、清岡選手はインタビューで、「(父には)一番高い所からの景色を見せることができたし、高く上がった日の丸を見つめて、いろいろと会話をしたい」と語りました。
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