『注文に時間がかかるカフェ』をご存じでしょうか?
言葉がでにくい『吃音(きつおん)』がある若者が接客するカフェで、新潟県内では初めて佐渡でオープンしました。勇気を出して接客に挑戦した生徒に密着しました。
6月22日、佐渡市で一軒のカフェがオープンしました。
一日限定の「注文に時間がかかるカフェ」です。
スタッフを務める3人には『吃音』があります。
「吃音は話し言葉が滑らかに出ない、発話障害の一つです」
音をくりかえしたり、引き伸ばしたり、ことばを出せずに間があいてしまったり…
吃音の症状で注文に時間がかかるときがあるので、『注文に時間がかかるカフェ』と名づけられました。
接客スタッフとして参加した佐渡市の太田さちさんです。
「おしゃべり大好きなので、たくさん話してほしいです」
エプロンには、そんなメッセージが書かれています。
太田さちさん
「接客は本当にしたことがなくて初めてなんですけど、相手も笑顔で接してくれるので気持ちよくできています」
家族は、さちさんが4歳のころに吃音の兆候に気付いたそうです。
太田さちさん
「記憶はないんですけど、ずっと繰り返しちゃう最初の言葉を」
『注文に時間がかかるカフェ』発起人 奥村安莉沙さん
「接客に挑戦を子どものころからしたくて、吃音がすごく重くてあきらめて大人になったんです。ただずっとやりたい気持ちが強くて、吃音があっても安心できるカフェがあったらいいなと思って、このカフェを始めました」
奥村さんは去年11月、佐渡市の小学校で自身の吃音について講演しました。
その際に「注文に時間がかかるカフェを開催してほしい」と声をかけられ、県内で初めて佐渡市で開催することを決めました。
さちさんは、学校の便りでカフェの開催を知り、応募することを決めました。
「応募した理由の中にも、自分に自信がつくようにと。佐渡でやるって聞いて、お母さんと話してやってみようとなって決めました」
この日の営業は1回50分制で3回に分けて行われます。
1回目の営業は、注文を受ける担当だった太田さん。初めての接客で少し緊張した様子です。
注文を受け終わると、吃音についてより知ってもらおうと、お客を回りクイズを出題していきます。
「遮ったり、推測して代わりに言ったりせずに、言い終わるまで待ってください」
2回目の営業で、緊張がほぐれてきたのでしょうか。
さちさんには笑顔が増えていきました。
太田さちさん
「初めて吃音のことを知ったりとかする人もいるのかなと思って、どんどん吃音のことをいろいろな人に知ってもらって、当たり前になってくれると嬉しいなって」
太田さちさん
「自分に自信がつくといいなと。他の人と話すのが好きなので、いろんなと話したいなと思って来ました」
津南町から訪れた女性
「(息子は)そこですごく変わって。そこで私も実際に“注カフェ”(注文に時間がかかるカフェ)がどんなところなのかすごく興味があって、それで来ました」
話しているうちに、涙がこぼれます。
津南町から訪れた女性
「そこですごく人生が変わったので、そのことをちょっと思い出して… 彼女たちもこれがきっかけで、どんどん積極的にいいふうに変わっていってくれたら、なんか嬉しいなって」
太田さちさん
「お客さんと話したときに、すごく共感できる部分が多くて、途中で泣きそうになって。女性の息子が大学に行って、吃音に関わることを勉強する場所に行ったと言われて、すごいなと思ったし、そういう道もあるんだなと思って、新しい発見だったりとかがあって…」
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