熊本で明治時代に創業した長崎次郎書店(ながさきじろうしょてん)が、6月末で休業しました。全国で相次ぐ書店の撤退。利用者の思いは複雑です。
長﨑健一社長「従業員一同心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました」
休業したのは、熊本市中央区新町の長崎次郎書店です。
創業は1874年(明治7年)。地域の人や読書家だけでなく村上春樹(むらかみ はるき)さんや森鴎外(もり おうがい)などの作家にも愛されました。
100年前の1924年に建った今の建物は、国の登録有形文化財にも指定されています。
しかし長年の歴史に区切りをつけることに。
経営する長﨑健一(ながさき けんいち)社長(44)によりますと、電子コミックの普及や電気代などのコストの増加が要因です。
熊本市の客「聞いたときは頭が追い付かなくて、何日かしてこっちに来てスタッフさんから(改めて休業を)聞いて、やっぱりそうなんだと寂しくって」
熊本市の客「画面で見た方が楽なんだろうけど、本のページの匂いとかも好きだから」
建物のオーナーで2階で長﨑次郎喫茶室を運営する長﨑圭作(ながさき けいさく)さんも。
長﨑圭作さん「薄い利益の中で(書店を)経営していくのは難しいんだなと感じましたね」
全国で書店の廃業が相次ぐ中、「休業」とする長崎次郎書店も再開の見通しは立っていません。
最終日には、別れを惜しむ人が。
長﨑社長「ありがとうございました」
客「頑張ってね」
長﨑社長「頑張ります」
長﨑次郎喫茶室と上通の長崎書店は今後も営業を続け、長崎次郎書店のある1階は文化の発信地としての活用が検討されています。
長崎次郎書店、また会う日まで。
書店保護のための国の対策
経済産業省は今年3月、書店を支援するためのプロジェクトチームを作りました。
一方、フランスや韓国でも書店保護のための対策が取られています。
韓国では学校図書館などの公共施設が書籍を買う際は、地域の書店での購入を優先するよう勧告。また、フランスではネットで書籍を販売する業者に対し、配送料の最低料金を定める法律を制定しました。
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